福島県教育センター所報ふくしま No.98(H03/1991.2) -018/038page
研究者の感想
教育研究法講座を終えて
福島県立会津高等学校教諭 渋 川 博
この講座は、教育現場での問題について、仮説を立て、検証し、その後の諸調査によって、その仮説が問題解決に有効であったかを検討する教育研究です。主題設定から完成まで約一年間継続的に研究を続けなければなりません。その間に教育センターの先生方のご指導をいただく訳です。
私は「国際理解を深めるための世界史の授業」を研究主題とし、“世界史の授業で各国の利害が明瞭になる場面において、生徒に個に応じた役割をもたせ、国際会議を開けば、各国の立場がわかり、多様な見方ができるだろう"という仮説を立てました。検証は世界史の授業で、第一次世界大戦前の国際会議の場面を設定し、生徒が各国の代表役につき、自分達で調べた当時の各国の主張を発表し、他国の主張を聞きながら質疑応答をするものです。報道陣役の生徒がビデオカメラを回したせいもあって緊張感があり、現実味を帯びた非常に緊迫した会議になりました。会議が終了すると全員から拍手が出た程でした。その後の諸調査によって仮説が有効に働いたことがわかった時の喜びや研究を発表し全講座が終了した時の充実感・満足感は最高のものでした。
約一年間、クラス担任・部活動と研究実践は、非常に忙しく、挫けそうでしたが、その苦労が今喜びに変わってます。
初心忘るべからず
―中学校経験者研修Uを受講して―
郡山市立郡山第二中学校教諭 滝 田 丈 夫
「光陰矢の如し」という言葉の通り、新採用教員として教壇に立ってはや十年が過ぎ、その間、学級担任や様々な校務分掌、そして部活動の指導などいろいろ経験しました。今回この講座を受講し、ふと十年前の自分を振り返ることができました。,/p>
新任教員としての初めての入学式、そして担任としての出発。教材研究を深め、わかる授業を心がけよう。生徒や保護者の信頼を得られるような学級経営をしよう。
スタート台に立った時のあの大きな抱負と不安の新鮮な気持ちが、この十年間持ち続け、実践できただろうかといった疑問が礒部部長、柳指導主事の「教師としてのあり方や学級経営のあり方」についての講議を聞きながらわいてきました。そして、経験だけを積み重ねてきた自分自身の安易な姿勢を問いただされたような気がしました。
2日目以降の「教科指導のあり方」の中でも、十分に教材研究を行い、生徒一人一人を大切にして毎日の授業をより充実したものにしなければならないとの講義を受け、心新たに取り組もうと考えました。
思えば、全てがスタート台に立った時に心に決めたことでもありました。
「初心忘るべからず」
これからも絶えず自問しながら、教育の道を歩みたいと思いました。