福島県教育センター所報ふくしま No.98(H03/1991.2) -028/038page
研修者研究報告書
古文の口語訳の練りあげを通して
物語文の読解を深める指導福島県立相馬女子高等学校教諭 湯 澤 誠 二
1. 研究の趣旨(1) 研究の動機とねらい
3年生の国語U(2年からの継続履修)を担当するにあたり、これまでの反省をもとに国語Uの総合性を考慮し、じっくり授業を進めようと思った。
古典の授業の際、「読んで訳し、一方的な説明を加えるだけであった。」という私自身の反省である。
生徒は、説明や口語訳を書き写すのに懸命だから、どうしても受け身の学習になってしまう。また、古典を学習する意義が理解できないし、作品に親しむこともできないでいる。
意識調査によると、言語事項(特に古典文法)への抵抗が大きく、これも大きな障害となっている。
そんな生徒たちに、言語抵抗を排除する工夫をし、口語訳の練りあげを通して先人の考えや感性をとらえさせ、古典を読む楽しさを実感させたいと思った。以上がこの研究のねらいである。
(2) 問題点
1. 国語Uの目標を踏まえ、古典を学ぷ意義を理解し、古典に親しむということができないでいる。
2. 言語事項(古典文法、古語の意味)への抵抗が大きいので、うまく解釈することができない。
(3) 原因
「生徒の側から」
1. 何のために古典を学習するのかよくわからないし、作中人物の生き方を理解することができない。また、古典こ親しみが持てない。
2. 古語の意味や文法がわからないので、うまく訳すことができない。
「教師の側から」
1. 古典の中に出てくる人物の、ものの見方や生き方を考えさせるための配慮が不足している。
2. 文語文法を主体とした指導に陥りがちである。
2. 仮説(1) 仮説
古文の物語文の指導において、自分たちが作った直訳をもとに、人物の心情や風景が良くわかる口語訳をグループで練りあげる活動をさせ、さらに各自の口語訳を作成させれば、生徒の意欲も高まり、読解も深まるであろう。 (2) 仮説のための理論
1. 物語文指導のねらい
(指導要領より)