福島県教育センター所報ふくしま No.100(H03/1991.8) -004/038page

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くかかわり,「自己教育力」が鍵となる。
4(囲み文字) ゴールを必須としない学びであり,急がない学びであって,マイ・ぺ一スが原則となる。
 このような「個的自己実現的」な生涯学習を進展させるためには,民間機関であると公的機関であるとを問わず,学習二一ズを多様に広範に開発する必要があるし,教材やテキストの研究開発,学習に関する相談機関の開設,学習成果の展示・発表・交流、通信教育方法の工夫改善,学習メディアの開発などが必要となる。
〔III〕「水平的連環」の面  これは,それぞれの地域の風土・習慣・人情などを顧慮しながら,そこに“根ざし根を張る”生涯学習を創り出すことを指す。
そのためには,地域社会に存在するすべての教育機関・機能を “ヨコに統合” する必要がある。幼稚園から人学までの各学校・専門学校・専修学校・学習塾・カルチャースクール,図書館・公民館,新聞社・放送局等の施設や機能の活用が望まれる。
ただこの場合には,各種各領域の教育機能を調整し,効果的にするための配慮が必要になる,したがって,このことは,「生涯学習推進センター」の役割や運営とも関係することになるのである。
 また,生涯学習は,地域文化の発展・創造ともかかわることが望ましいから,個が習得し身につけた学習の果実を,地域という「場」に拡げることが期待される。これを生涯学習の“個から場への転化”と呼んでもよいのではなかろうか。

〔IV〕「垂直的連節」の面  これは,人生80年3万日の自己経営・生き方を,より豊かに・より実り多いものにするために, “タテに統合” することを指す。
 そのためには,人生のそれぞれの時期における課題と牛涯学習の指標を打ち立てる必要がある。オークランド大学のパーキン教授は,生涯教育の“概念モデル”を,乳児院・幼稚園・初等教育・中等教育・成人前期・成人中期・成人後期の段階を設けて体系的に示している。
 私もまた私なりに,胎乳児期・幼児期・学童期・少年少女期・青春期・而立(じりつ)期・躍動期・信望期・円熟期・自適(じてき)期に分けて,各時期ごとの指標(キーワード)を示している。生涯学習を継続的・計画的・発展的なものにするためには,このような“指標の設定”が不可欠なのである。
 わが国には,「学而問・問而生」というよい言葉がある。学ぶということは問い続けるということであり,問い続けることはあかし生きるということの証(あかし)である,という意味なのだが,私は,牛涯学習は人間が人間としてどう生きるか,ということと深くかかわる大切な学びである,と思っている。
生涯学習の全体像は,公的制度的な面・個的自己実現的な面・水平的連環の面・垂直的連節の面からアプローチしてみなければならないし,これらが相互に作用し合うことによって,生涯学習の総和的な進展が期待されるのである。
 例えば,ヒューマン・サポート・ネットワークを作るにしても,インテリジェント


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