福島県教育センター所報ふくしま No.100(H03/1991.8) -009/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

所員個人研究-(小学校 国語)

要約する力を育てる国語科学習指導

学習指導部   佐 藤 吉 則

1.研究の趣旨
(1)研究の動機とねらい
 日常の言語生活の中で求められることは,人の話や文章を的確に要約して理解したり,
他の人に話したり,書いたりして表現できる言語能力である。この「的確に要約する力」は,豊富な情報量のある現代社会においては,不可欠な言語能力といえるであろう。
普段の国語の学習においては,「文章の中の大事な言葉をさがしなさい。それを中心に文章としてまとめなさい」くらいの指導でした。「どのようにして文章の中の大事な言葉を見付けだすのか。また,どのようにすると要約文が書けるようになるのか」については十分に指導がなされなかった。つまり,要約文を書く活動をさせてはいたが,まとめる指導が不十分であったため,この主題を設定した。
(2)児童の実態
 国語科の学習の実態調査結果(T小学校4年生)は,右上の表の通りである。
指示語,接続語,語句が十分に理解されておらず,要点を把握する力も弱い傾向にある。特に,指示語の働きが不十分な段階にあり,文章のつながりに注意して読んでいることは,少ないようだ。それは,文章の要点把握にも大きな影響を与えている。

  調査項目 問題番号 正解率
1 接続語の理解 (1)
(2)
64.3
64.3
2 指示語の理解 (1)
(2)
28.6
42.9
3 語句の理解 (1)
(2)
(3)
50.0
65.7
78.6
4 要点の把握 (1)
(2)
21.4
78.6

2.研究仮説
(1)仮説
文章を要約する学習において,字数を制限し,全体を見通し,主語と述語の整った文章を書くようにさせれば,要約文が書けるようになるであろう。
(2)仮説についての基本的な考え
1.字数の制限
ア先の見通しがあるので,児童にとって書きやすくなる。
イ重要語旬を選ぶようになる。
2.主語と述語の整った文
多くの文章の中から最も重要と思われる主語と述語を選択し,一文としてまとめさせる。それに合わせて修飾語も選ばせるようにし,新たな文を作らせる。
3.全体を見通したまとめ
文章全体を見通した要約文にして,各段落の要点に要旨との整合性を持たせる。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。