福島県教育センター所報ふくしま No.100(H03/1991.8) -011/038page
5. 事前・事後・把持テストの結果と考察
項目番号 |
問題の内容 |
正答率 |
有効度指数 |
把持率 |
事前 |
事後 |
把持 |
1 |
話題 |
64.7 |
76.5 |
94.4 |
33.1 |
92.3 |
2 |
中心語句 |
88.2 |
88.2 |
38.9 |
0.0 |
33.3 |
3 |
段落 |
64.7 |
70.6 |
66.7 |
16.7 |
75.0 |
4 |
要点 |
82.3 |
100.0 |
77.8 |
100.0 |
82.4 |
5 |
必要な細部 |
35.2 |
52.9 |
88.9 |
27.3 |
100.0 |
6 |
例えと説明 |
82.3 |
82.3 |
33.3 |
0.0 |
42.9 |
7 |
難しい語句 |
0.0 |
35.2 |
66.7 |
35.3 |
83.3 |
8 |
言葉のかかり受け |
88.2 |
94.1 |
100.0 |
50.0 |
100.0 |
検証授業の後,事前テストの結果と事後テスト,把持テストの結果と合わせ,正答率と有効度指数を算出すると上図のようになった。
全部の項目について,事前テストの正答率と同じかそれ以上の数値を得,伸びが見られた。
特に,「難しい語句」の項目は,事前テストでは全然できなかったものが,他の項目と比較すると正答率は低いが学習効果が見られた。本研究に最も関係する「要点」の項目は,1OO%の正答率であった。有効度指数を見ても指導の効果があったようだ。
「必要な細部」の項目は,文章に記述してある説明や数字を多く読み取るものであったが,複数の解答を求めたこともあり正答率は低かった。しかし,徐々に力が定着してきているようだ。
「中心語旬」「例えと説明」の項目は,あまり指導の効果が見られなかった。事前テスト,事後テストともに,正答率が高い数値を示したにもかかわらず,把持テストの出来がよくなかった。指導の見直しが必要である。
以上のことから,説明的文章を読む能力のレベルアップが図られたと思われる。
(3)結論
1. 字数を制限し文章を要約させることは,有効であった。児童の感想にも「書きやすかった」という表現が見られた。
2. 複数の文章中から最も重要な主語と述語を選択し一文にまとめさせることによって,全児童がほぼ同じような要約文が書けるようになった。
3. 全体を見通すことによって,文章全体の要旨と各段落の要点との整合性のある要約文が書けるようになった。
6.研究のまとめ
(1) 研究の成果
要約文を作成するときには,3つの手だて(字数制限,主語一述語の対応した文,全体を見通す)が,有効である。
(2) 今後の課題
要約することは,児童一人一人の言語事項の理解量や読書量にも関係してくるので個人差に応じた指導の手だてが必要である。
また,全体を見通す能力を育成することは,短期問には困難なので継続的な指導が必要である。
7.参考文献
(1)松受羊一198玉国語科教育法図書文化
(2)花田修一i990要約力をつける練習学習
国語科教育
(3)横山験也1990力をつける説明文の読解法
明治図書
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