福島県教育センター所報ふくしま No.100(H03/1991.8) -012/038page

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所員個人研究ー(中学校 技術・家庭科)

木材加工におけるソフトウェアの活用
ー木製品の設計を支援するソフトウェアの作成ー

科学技術教育部   矢 舘 清 孝

1.はじめに
 新学習指導要領の中では,技術・家庭科の「情報基礎」領域で情報活用能力の育成についての具体的な内容が示されている。
また,「情報教育に関する手引き」(文部省)においては,技術・家庭科の他頒域でも実習と関連させてコンピュータを活用する学習活動の必要性が述べられている。
 一方,平成2年11月の本教育センター科学技術教育部の調査では,本県技術・家庭科で授業にコンピュータを活用している学校が14校と少ない。その中で「木材加工」頷域における活用は図形処理がほとんどで,設計への活用は皆無であった。そして調査の中には「コンピュータの図形処理の機能を設計段階で生かしてみたい」という意見が多くみられた。
 このような現状を踏まえて,本研究では「本立て設計ツール」(木製品の設計を支援するソフトウェア)を開発し,コンピュータ活用のあり方について追究してみた。

2.設計ツールとしてのコンピュータ
 コンピュータは,知的能力を拡大させる道具の一つである。
つまり,我々は知的作業の一部(計算,作図,データの整理等)をコンピュータに支援させたり,代行させることにより知的作業の効率を上げたり思考を飛躍的に拡大させることができる。特に設計においては,シミュレーション,図形処理,計算等の機能を働かせることにより,簡単な数値能力等で全体の形をイメージすることができる。したがって,高度な創造性や独創性を必要とする設計のツールとしてはコンピュータが最適であると考えられる。

3.設計の思考と手順について
設計の思考や木製品の設計手順と「本立て設計ツール」との関連について述べる。
(1)設計の思考
設計は既有の知識とともに,新しく製作する物を決定していく過程であり,最終的に製作物の仕上がりの形や構造を図面などで具体的に表すことである。したがって,材料,費用,作業等の計画まで含まれる総合的な活動でもあるが,特に設計の思考には創造的思考が中核をなしている。
創造的思考は,ギルフォードによると主として次の各思考の統合と見なされる。
1.拡散的思考:外部に多種多様に拡がっていく思考
2.収東的思考:一つのことに集中的に追い込んでいく思考
3.直観的思考:直観的に全体を把握する発見的な思考


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