福島県教育センター所報ふくしま No.100(H03/1991.8) -015/038page
所員個人研究ー(中学校 理科)
地上写真スライドによる立体視を用いた教材の開発
ー中学校地学領域を中心にしてー科学技術教育部 高 梨 光 一
1.はじめに
立体写真は,他に類のない教材提示の特性から教科書等にも取り入れられているが,意外に立体視できないとの声も多い。そこで,だれにでも立体視が容易で,かっ教師自身による教材開発も可能なシステム作りを目指し,この研究に取り組んだ。
2.システム全体像
視差をもたせて撮った2枚の写真プリントを両眼ルーぺ等でのぞく従来の方法では,「並べずれ」,「のぞきずれ」による立体視率の低下があった。故に,(写真→ルーぺ→眼)をできるだけ固定し,それらのずれが始めから生じない下図のシステムを考えた。また,教師が作れる立体写真にするため,地上写真スライドによるものとし,このため,「撮影ずれ」のない立体写真撮影法についてもそのマニュアル作りを試みた。次にそれらの抜粋を示すことにする。
3.立体写真の撮影について
ほどよい立体感を得るには対象距離:基線長の比を適度にする必要があるが,これは,テスト撮影と試行から約20:1との値を得た。実際の撮影における基線長の確保には,段丘面,道路・橋,スキー場ゲレンデ,湖水面(舟),航空機・列車など乗り物等の活用が有効であった。また,「撮影ずれ」をなくすためには,カメラのファインダースクリーンに方眼マット面を用い,中心と水平線を合わせることで対処した。
4.スライド用ステレオルーぺの製作
下の写真が完成品のようすであるが,これは,組立図に示すような材料で箱型を作り,固定されたスライドをルーぺでのぞくものである。費用は、レンズ代を含め約460円である。