福島県教育センター所報ふくしま No.100(H03/1991.8) -027/038page
てしている」を合わせると、61%〜73%とかなりの高率で意図的に行われていることがわかる。
このことから、児童生徒の「自分の長所を知りたい」という強い願望に、教師が十分に対応しきれないでいることがうかがえる。
これらの実態から、事例を通して指導援助の一つのあり方を考えて見たい。
自己理解を深めるための事例
この事例は、小学校5年生1クラスを対象に、学級担任が児童の自己理解を深めるために行った指導援助の一例である。
1 学級の特質 (4月現在)
A市のやや郊外に位置する中規模校の5年B組の児童は、活動的で積極的に行動するが競争意識が先行し、個々の可能性がまだ引き出されていない面が多い。
また、語彙(い)も豊かで大人びた話しぶりをするが、授業中でも平気で出歩く等、発達段階から見ても言動にアンバランスの面が感じられる。組替えや担任が変わったということでお互いに目立とうとしている様子が強いと思われる。
2 自分への気づきの不足
これらの学級の特質から、担任(42才女性)は、それぞれの児童が自分への気づきが足りないことをとらえ、まず、学級全体への指導と平行し、個への指導援助を行うことにした。
3 学級集団への指導
学級に対しては、特に、長所を認め合うことや落ちついた学習態度が学習の理解を深めること等を中心に指導した。これは、他を理解することが自分の理解につながることを意図したものである。
学習の理解については毎日の授業の中で留意することができるが、”長所”については、授業だけでなくあらゆる教育活動の場で気づかせ生かせるように配慮した。中でも、行事は全員で取り組むものであり、個を認め長所を伸ばすためのチャンスである。その中から一例について述べる。
〔チャンス到来!宿泊訓練〕
はじめて親元を離れる宿泊訓練は、親も