福島県教育センター所報ふくしま No.102(H04/1992.3) -013/038page

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所員個人研究

情意面の測定用紙作成と結果の活用
―中学校数学科の一例―

教育相談部   八 島 喜 一

情意面を測定する意味
 新学習指導要頷には「学力を単なる知識や技能の量の問題としてとらえるのではなく,その後の学習や生活に生きて働く資質や能力との関連においてとらえ直す必要がある」という学力観が示されている。改訂指導要録の「各教科の学習の記緑」の「観点別学習状況」の評価観は,上記の学力観に沿い,関心・意欲・態度,思考・判断,技能・表現,知識・理解の順となった(文部省協力者会議,1991.3.13)。これは,おおむね,ブレーム(Bloom,B.S.)ら(1971)によって提唱された教授目標の分類学によることが大きいと考えられる。彼らによると,情意面は,知的好奇心をそそるような刺激を受け入れるレベルから学習者が人生観として身につけるレベルまでの価値の系統的構造(受け入れ→反応→価値づけ→組織化→個性化の実現;後述)を持っており,この情意面は認知面と表裏一体となって,人格特性の一っに組み込まれる,という。
・受け入れ:ある現象ないし刺激の存在に対する感受性のこと
・反能:能動的に注目すること,又は,現象に対して若しくは関して何かをすること
・価値づけ:主体が現象のなんらかの価値を知覚し,その結果これらの現象に関する主休の行動が一貫性のあるものとなること
・組織化:価値の概念化であり,価値間の内的関連性を決めるのにこれらの概念を使用すること
・個性化の実現:価値,信念,理念,態度などを内的に一貫した体系へと組織化すること
 各学校では,新学習指導要領の実施に伴い,従来の「関心・態度」に対する評価解釈を「情意面の指導と評価」に改めて,情意面に関する教育を,個性の伸長を図りながら自己教育力を養うためのものとして学校教育全体計画に位置づけなければならない(北尾倫彦,1989)が,把握の対象である情意面は,生徒の生育歴や既有経験,心身の発達段階などに大きく左右されるために,その測定は極めて難しい。
 しかし,「個性化の実現」のレベルを除いて,自己教育力を構成していると考えられる他の4つのレベルに関する一般的な情意目標を設定してこれを形成的に評価し,その結果を生徒一人一人にフィードバックすれば,生徒一人一人の成長を追いながら指導し評価していく上で画期的な補助資料になると考えられる。


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