福島県教育センター所報ふくしま No.102(H04/1992.3) -023/038page

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授業におけるコンピュータの効果的な活用に関する研究
一主体的な学習活動を促すコンピュータの活用一
(第2年次)

科学技術教育部

本研究は,児童生徒の主体的な学習活動を高めるため,コンピュータを授業の中でどのように活用したら,より効果的かを追究したものである。研究の第1年次では,サブテーマとして「学習内容とコンピュータの機能との関連について」を取り上げ,各教科の学習内容とコンピュータ機能の関連表を作成し,授業におけるコンピュータの効果的な活用の在り方を追究した。
 第2年次は,コンピュータの機能を生かした教材ソフトウェアを作成し,研究協力校(小・中・高校の3校)において検証授業を実施して,児童生徒の主体的な学習活動の高まりを調べた。主体的な学習活動を支える要素として「学習意欲」「情報活用能力」「達成感・成就感」の3つの要素を規定した。研究対象の学級で認知面と情意面の二面からなるレディネステストを行い,これをもとに4つのタイプに分け,検証授業を通して,3要素の変容を測定した。

 一小学校「理科」(6年)一
 観察・実験等において,問題解決活動の場面でコンピュータを知的ツールとして活用した。一連の検証授業の事後調査から主体的な学習活動の3要素のうち「学習意欲」「情報活用能力」に高まりが認められた。
「達成感・成就感」には,それほどの変容が認められなかった。

 一中学校「数学」(1年)一
 検証授業では,図形領域を取り上げ,問題解決のために必要な情報を生徒が主体的に選択し,活用できるソフトウェアを使用した。特に,作図の指導では,個々人に作図の手法を習得させることに効果があった。
検証授業の事後調査では3要素のうち「情報活用能力」に高まりが認められた。

 一高等学校「家庭科」(3年)一
 生徒の身近な生活情報を整理し,それらをコンピュータのデータとして蓄積するとともに適切に管理するためにコンピュータを活用した。検証授業の事後調査からは,3要素の「学習意欲」「情報活用能力」に高まりが認められた。
 全体を通して,コンピュータは,児童生徒の主体的な活動を促すことに効果があると認められたが,学習のタイプによってその効果に差があるということも分かった。
児童生徒一人一人の二一ズに応じて活用できる教材ソフトウェアの開発が今後の課題となる。主体的な学習活動をより一層促すために,学習ツールとしてのソフトウェア開発と指導過程の中での活用の方法との二方面から,コンピュータ活用の在り方を継続して追究していく必要がある。

 なお,研究の詳細については,研究紀要(第88号)をご覧ください。


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