福島県教育センター所報ふくしま No.102(H04/1992.3) -028/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

ることが分かる。これらの生徒は将来の進路が不安定なばかりでなく,学習意欲もなくしていると思われる。

【図2 自分の将来について】
【図2 自分の将来について】

 このことから、児童生徒が将来への向上心を高め,自己実現が図れるようにするためには,一人一人に目的意識を明確にさせ,将来について考えさせることができるように相談的に指導することが大切であろう。また,指導援助は所属感,自己理解,自尊感情を高めながら発達段階に応じて,継続した指導が必要になってくる。
 今回は,対象に先輩の話を聞くことにより,将来への夢を持ち,具体的な進路を見いだした中学校の実践事例を述べることにする。

将来への向上心を高めるための指導援助の例

1 学級の実態
 学校生活にも慣れ,落ち着いた雰囲気の中学2年生(男19,女18)の学級である。日ごろから生徒たちが互いの良さを理解し合い,共に高まり合うことを意識して小集団活動を学校生活に取り入れて活動させている。そのため,授業や特別活動での話し合いの活動などは活発である。
 しかし,一人一人の生徒を見つめてみると,自尊感情の高まりがみられない生徒や,自分に白信を持っことができずに,将来の夢や目標に向かって積極的に努力できない生徒もいる。また,多くの生徒は,進路についても「…になりたい」という具体的な目標を持っていない。

2 進路を先輩から学ぷ
 一人一人の生徒に,将来に向けて意欲的に生きる生き方を学ばせるために,「先輩の体験談を聞く会」を実施することにした。
 あわせて,将来への夢や見通しを持てない生徒には,自己理解を深めさせ,自尊感情を高めさせながら,自己実現に向かって積極的に努力させることをねらいに,教育相談を効果的に実施していくことにした。
3 指導援助の流れ
[事前調査]―[先輩の体験談を聞く]―[感想文を書く]―[感想の発表・話し合い(班と全体)]―[個別面接]
4 実践の経過
(1) 「何にもなりたくない!」


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。