福島県教育センター所報ふくしま No.102(H04/1992.3) -029/038page

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 進路指導の時間に生徒たちと将来の夢や希望について話し合い,進路希望の調査をした。その結果から,生徒は将来の夢や目標を持ちながらも,どのように自分の進路を決定したらよいのか,また,中学時代にどのようなことを身にっけておかなければならないのかなどの悩みを持っていることが分かった。そんな中でも,A男の書いた「夢なんてない。何にもなりたくない。」という文章が気になった。

(2) 「よかった,先章の話!」
 道徳と学級活動の時問を活用して,二人の先輩の体験談を聞くことにした。
いろいろ考えたすえ,担任の教え子でK建設会社に勤めるBさんと女子大生で教員をめざしているCさんにお話をお願いした。先輩の体験談を聞いた後,生徒に感想文を書かせた。その一部を紹介する。

Y子:二人の先輩の話を聞いてよかった。感動した。それに会社ってすごく厳しいところだと思った。
会社から課題を与えられ,その勉強をしなければならないなんて大変。私にもできるかな。

A男:父は自分の仕事のことを話してくれません。今日二人の先輩の話を聞いて,すごいなあと思いました。
ぼくの父も会社でそんなに頑張っているのかな…。

(3) 「先輩のような会社に入りたい!」
 感想をもとに放課後,班ごとに話し合わせ,その結果を学級全体に紹介させた。以下は班での話し合いの様了である。

司会(生徒) 先輩の体験談はとてもためになったと思いますが,先輩の話にどんな感想を持ちましたか。
D子 私はF大学に入りたいと思っています。先輩のCさんが教師をめざしていろんな勉強をしていることがよく分かりました。
 わたしも見習ってF大学に入るために今から頑張ってみたいと思います。
A男 僕はK建設会社に行っている先輩のような会社に入ってみたいと思いました。そして,機械をいじってみたいです。…以下略…

(4〕 「でも成績が…?」
 先輩の話に感動して自分の将来の夢をふくらませたA男の班の3人は,中間テストの成績のことが気になって担任に相談を持ちかけてきた。そこで個別に面接を行い,話をじっくり聞くことにした。
以下はA男と行った面接の一部である。

A男 将来,建設会杜に入りたいと思ったのですが,先生,どうすれば入れるんですか。
担任 先輩の話にあったように,がんばれば君だって入れるよ。
A男 今の僕の成績でもですか?


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