福島県教育センター所報ふくしま No.102(H04/1992.3) -032/038page
の指導上の工夫が不足していた。
○授業を組織する上で,各段階の具体的な意味づけ,指導内容・方法,評価法が明確になっていなかった。
2.仮説
道徳の時間の指導において,問題場面を構造的に把握させ,比較視点を明確にし,それまでの見方・考え方を吟味・検討する場を設定していけば,価値に対する心の変化を主体的に受けとめ自己を見つめる児童が育つであろう。
3.計画……(略)
4.概要と考察
(1)研究の経過
1.検証までの準備……(略)
2.検証授業計画
ア.主題名「どっちにしようか」
イ.主題設定の理由…….(略)
ウ.仮説検証のための手だて…(略)
工.本時のねらい
よく考えて行動し,過ちは素直に改めようとする態度を養う。
オ.道徳ノートの形式……(略)
カ.指導過程
(2)検証と考察
段階 学習活動・内容 時間 指導上の留意点 導入 1.事前調査「今までの自分」を読み本時の中心価値をとらえる。
<それまでの自分を振り返る視点>3分 ・「今までの自分」を黙読させることによりどっちにしようか迷ったときの気持ちについてとらえさせ、自己の価値観を意識させる。教師の朱書きを入れておく。
・気持ちは確かめるくらいにし、深く追求しないように心がける。
・悩みを焦点化していくようにする。展開 2.「どっちにしようか」を読み、話し合う。
(1)組み絵の提示
(2)資料の読み取り
(3)話し合いたい場面の発表
(4)迷っている広の心
(5)お母さんとの約束を思い出した広の気持ち
3.自分の心の動いた友達の考え方とそのわけを考える。
<高められた価値観から振り返る視点>
4.友達の広への多様な考え方を聞いて振り返る。25
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・友達と話し合い、悩んでいる場面の絵を提示して、その絵からいろいろな予想を立てさせてから資料を読ませる。
・何を迷っているのか、なぜ迷っているのかという発問によって、広の置かれている立場や状況を明らかにしていく。
・広の葛藤は、チームのためと正と、母との約束の正の葛藤であることに気づかせ、チームのために残りたいという気持ちと母との約束を守るために帰らなければという気持ちに迷う広の心の揺れ、動きを、友達の考えに左右されることなく、主体的に道徳ノートに記入させる。
・心の動いた考えとそのわけを道徳ノートに記入させ、価値をより主体的にとらえさせ自分の心の動きを意識・自覚させる。
・より多様な高い価値にふれたことによってそれまでの自分の価値はどのような価値だったのか異同を考えさせ、それによって今までの自分はどうなのか振り返り、道徳ノートに明確にさせ価値の主体的自覚を図る。終末 5.実践への意欲を持つ。
(1)道徳ノートの発表5 ・二つの視点を意識して書き、自分を振り返りを浮き彫りにしている児童を取り上げ、賞賛して実践意欲の高揚を図る。
・意図的指名により、2〜3名発表させる。
1.検証の観点……(略)
2.授業の結果
ア.二つの価値観を比較したとき意識自覚した心の動き,意識の変化は,表・1の通りである。
この表から,次のようなことが観察された。
○はじめに周りの事を考えなかった児童が,いろいろ考えて約束だから帰るという節度に動いている。9名。