福島県教育センター所報ふくしま No.103(H04/1992.6) -002/038page

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「非行の練習問題」

福島県中央児童相談所相談課長 内山清一

福島県中央児童相談所相談課長 内 山 清 一

 児童相談所や児童福祉施設の職員を対象とした研修会で,そのプログラムの手始めに『非行の練習問題』という演習をすることがある。(問題解決の仕方に,その人の個性や価値観が如実に現れ,型通りではない自己紹介にもなる)
 その演習というのは,こうである。
「ある教育熱心な中学教師がいた。彼のクラスには二人の問題児がいた。Aは非行少年である。Bは足が不自由(そんなに重大な障害ではない)で,そのため劣等感が強く,朝礼や体育など集団活動には参加しなかった。
 先生はAがクラスで適応できるように,級友たちには友達になってもらうようにしたり,Bには積極的に集団に参加するよう働きかけた。
 努力の甲斐あって,体育の時問,Bは参加する意向を見せ,整列している皆の前を通って,自分の位置まで歩いていこうとした。その時,Aが足を出して引っ掛けたため,Bは転倒した。
 あなたが教師ならAに対してどういう態度をとるか。」
演習でのプロセスは,まず,各自,課題を読んで考えをメモし,次に,5,6人のグループ・ミーティングを実施し,その上で,各グループがその討議の内容を全体へ報告し,最後に,各自のふりかえりをすることになっている。
 このような事例に出会うことは,日常茶飯事ではないにしても似たようなケースに出会う可能性はあるだろうと思われる。もしも先生方がこうした場面に出会ったとしたら,その時どのような対応をされるであろうか。しばらくの間,お考えいただきたい。
 「問題」の状況設定は,大まかであるため,多くの読み取り方ができ,その対応によっては,NHKの「中学生日記」の素材にでもなるような,いくつものドラマが展開するだろうと思われる。
参加者から,様々な対応策が出された。
!.怒って,ひっぱたく。
2.Aのやった結果を見させて,Bを起こす。
3.Aを別室に連れて行って,理由を聞く。
4.そのまま経過を見守る。
5.叱った上で,校庭5周の罰マラソンをさせる。
6.理由を聞き,Aの気持ちを引き出す。Bへの理解を持たせる話し合いをする。


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