福島県教育センター所報ふくしま No.103(H04/1992.6) -007/038page
周運動のシミュレーションから地軸の傾きの大きさを求めようとする班が見られ, 新たな問題の発見や発展学習にも有効であった。
<授業者の考察から>
「説明が多い天体で課題解決学習ができたことは成果であった。また,パソコンのデータから,地球の公転や地軸の傾きを考察しモデル化するという過程は,ほとんどの生徒にとって納得のいくものであった。」と有効性を認めている。
(2)パソコンによる動機づけの有効性
<事前,事後,把持テストから>
平均正答率は,事前31%,事後87%,把持92%であり,平均有効度指数は83,平均把持率は96%であった。指導内容の定着が図られた。
また,地軸の傾き・地球の公転のモデルでの有効度指数は89,把持率は100%であり,モデルによる概念形成に効果があた。
<学習意欲の自己評価から>
学習意欲の変容についての5段階自己評価は,次のとおりであり,意欲的に取り組んでいることが分かる。
<授業の感想から>
○普通の黒板でやる授業のとき,説明されても分かりづらいところもシミュレーションを使うと分かりやすかった。
○普通の授業では,手など挙げたことがなかったからおもしろくなかったが,パソコンを使った授業の時は,自分で操作などして結果が出てきたので楽しかった。
○シミュレーションで調べるのがとても楽しく,最近太陽や星座を注意深く見るようになった。
*これらの感想の中で,シミュレーションに対する興味・関心から自然現象への興味・関心に移ったことは,大変意義深い。
(3)ソフトウェア改善の効果
パソコン操作は,普通あるいは簡単であったと答えた生徒は90%。パソコンを使った授業は理解しやすいと答えた生徒は,95%であった。これらのことから改善の効果が認められる。
また,既製ソフトウェアの使用について,どのように利用できるのか,「4つの観点」から検討した。生徒にとって使いやすいとの評価を得ているが,ソフトウェアを検討する場合の「検討基準」にっいては継続して研究する必要がある。
IV 今後の課題
パソコンのシミュレーション機能だけでなく,パソコンの他の機能を用いて自然の事物・現象を調べる活動を支援・強化し,触発するような活用の在り方を工夫する必要がある。
● 研究協力者福島市立渡利中学校 柳田健一教諭
● 参考プログラム「BASICによる天文パーソナルCAI」
:弘原海清ほか(共立出版)