福島県教育センター所報ふくしま No.103(H04/1992.6) -010/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

間を見通した計画を立てることが大切である。
(2)単元配当表の分析
 3学年の単元配当表から分析した実態は次のとおりである。
 教科書と全く同じ単元配当表が50校中21校(42%)みられた。
 「みかんづくり」や「かまぼこ工場」など学校所在地からすると考えられない地域であるにもかかわらず,単元配当表にはそのまま載せられているのである。
 また,地域にある「機械工場」や「縫製工場」,その地域の中心になっていると思われる「養蚕」や「トマトづくり」を取り上げるなど,一部地域素材の教材化が図られている単元配当表が27校(54%)みられる。
 次にあげるのは,C小学校の3学年社会科単元配当表である。
単元命 時数
1 会津若松市のようす     19
  ●学習の計画      (1)
  (1) 学校のまわりのようす(10)<3>
    〇学校のまわりの見学  <3>
 (1) 学校全体のようす   <4>
 (2) 市ぜんたいのようす (7)<6>
10
     ↓   <1>
  ● まとめの評価    (1)
2 人びとのくらしと工場のしごと 17
  ● 学習の計画     (1)
 (1) 栄川酒造工場     (5)<3>
   〇栄川酒造の見学   <2>
 (2) 市の工場のしごと  (10)<3>
11
 (2) 市の工場のしごと    <1>
  〇工場見学        <4>
  ● 工場見学のまとめ    <2>
  ● まとめと評価    (1)
3 人びとのくらしと店のはたらき 19
  ● 学習の計画     (1)  
  (1) 家の近くの店    (3)<1>
 C小学校のように,地域素材の教材化が図られ,どの工場を見学するのか,見学等習に時間をどのくらい取るのかなどを明確に位置づけ,学校の実態に合わせて単元の順序を入れ替えている単元配当表は,わすか2校(4%)しかみられなかった。

3 まとめ
 3,4学年の社会科は指導しにくいという話をよく耳にする。身近な地域の素材を教材化して杜会科の授業を進めなければならないからである。また,その地域の様子をよく知らない新任教師が3,4学年を担任することが多いように思われる。
 今回のアンケート調査と単元配当表の分析からみると,観察,調査・見学などの体験的な活動の大切さを理解しながらも,現在の段階ではどの学年においても社会科の授業の中に積極的に取り入れられているというわけではない。
 しかし,「学校行事,対外行事に追われて実施できない」などさまざまな問題がある一方,「縫製工場が近くにあるので,来年度は地域にある工場として,ぜひ見学を取り入れていきたい」というような感想をもっている先生も多かった。
 先に示したC小学校の単元配当表はこれからの社会科の授業に多くの示唆を与えてくれるものであると考える。その際最も大切なことは,学校全体で取り組むという姿勢であろう。
 体験的な活動を通して,自分たちの地域を見つめさせ,自分たちの地域の素晴らしさに気づかせたいと思う。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。