福島県教育センター所報ふくしま No.103(H04/1992.6) -011/038page
所員個人研究一(中学校道徳)
道徳教育におけるコンピュータの活用
一道徳の授業改善を目指したコンピュータの活用一科学技術教育部 矢 舘 清 孝
1. はじめに
「心の教育の充実」が今日の教育に最も望まれており,道徳教育の果たす役割は大きい。
学校における道徳教育は,地域杜会や家庭との連携のもとに学校教育活動全体を通して行うことになっており,その中心となる道徳の時間は,ますます重要となってくる。その指導に関しては学習指導要領によると「生徒が興味や関心を持つ教材を開発したり,…………生徒が自ら道徳的実践力を高め,内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮する必要がある。」とされている。このことは道徳の時間における教材開発と指導法の工夫がいかに重要であるかを述べているととらえることができる。
しかし,現状では,明確な目的,指導観を持たないまま指導したり,指導法の工夫や教材開発についても努力不足の面が多く見受けられる。
そこで,指導法の改善に焦点を当て,教具として優れた特性を有しているコンピュータを活用することによって,道徳の時間を活性化し,生徒の道徳性の向上を目指して本研究主題を設定した。
2. 道徳の時間へのコンピュータの活用
教育メディアとしてのコンピュータは,画面が動くこと,音声が出ること,生徒の入力に個別に対応できること,他のメディアと組み合せた提示ができることなどの長所がある。また,情報処理の道具としては,膨大な資料の検索ができること,多量のデータ処理,グラフ表示カ癖時にできること,図形処理が容易であることなどの利点がある。道徳の時間の指導では,導入段階での学級全体の意識調査と結果の表示,メディアミックスによる資料の提示,発問や内容構成を具体化させる提示の活用に効果が大きいと考えられる。
3. 授業における実践
道徳の授業におけるコンピュータ活用の有効性を,次の方法で検証する。
(1)仮説
道徳の授業において,コンピュータによって生徒の意識を即時的,具体的に提示し,メディアミックスにより資料を提示すれば生徒は内容をより明確に把握し,道徳的心情がより深まるであろう。
(2)検証の計画
次の手順で検証することとした。
1.生徒の実態調査と主題の決定
2.事前事後調査項目の決定
3.資料の決定と資料分析
4.授業の組み立てとコンピュータの活用
5.ソフトゥェアの作成
6.事前調査の実施