福島県教育センター所報ふくしま No.103(H04/1992.6) -018/038page
研修者の感想
教育研究法講座を受講して
福島県立岩瀬農業高等学校教諭 水野 晴夫
「本講座は,教育センターの数ある研修講座の中でも一,二番目に大変な講座ですから。」との第一声で三期に分けて,一年間に及ぶ講座が始まりました。報告会を終わり最終日に一緒に苦労しあった先生方と打ち上げの酒のおいしかったこと……。
一年間の数々の思い出が脳裏に浮かんできます。
研究テーマ・仮説の検討,一人よがりでなく相手に理解してもらうためのことばの吟味,わかりやすい表現の工夫など。研究全体の見通しが持てず,この先どうなることやらとため息まじりのスタートでした。
宿舎に帰っても12時過ぎまで,ああでもない,こうでもない,同室の研修者皆が同じ調子で頭を脳ませたものでした。
初めて参観した小学校2年生算数の授業,小学校のベテラン先生が話されていた「以前は落ちこぼれは小学5年生から,でも最近は2年生から。」とのっぷやきが印象的でした。
報告会での小・中学校の先生方の発表技術の素晴らしさ,OHP・スライドはもちろん,ビデオあり,テープレコーダーあり,黒板にチョークー本の高校教員はただただ驚くばかりなり。
お世話になりました先生方,本当にありがとうございました。「10年の時を越えて」
一小学校経験者研修IIを受講して一
月舘町立月舘小学校教諭 中野 美登利
「先生,お元気ですか。僕は,この春,大学に合格して,秋田に住んでいます…。」春風と一緒に,一枚のはがきが届いた。文面に浮かぶ懐しい顔とオーバーラップして,教師になったばかりのころの自分の姿が思い出される。「常に,子どもの目の高さに立って,子どもの心を大切にする教師になろう。」そんな希望を抱きながら,手探りの状態で取り組んでいた毎日。右往左往しながらも,心だけは,熱かった。 あれから,10年。久しぶりに児童にもどって,講座の先生方の講義や演習に耳を傾けた。「それはね…。」わからないことがあると,何度もくり返し教えてくれた。うまくできなくても,「うん,大丈夫。」と温かい言葉が返ってきた。人の心を大切にしようとする姿が,そこにはあった。気持ちは,いっも変わらないっもりでいたのに,忙しさの中で,いっの間にか,新鮮さと熱い心を忘れかけている自分に気がついた。 ショックだった。と同時に,先生方の言葉が,心にしみた。 「元気で,がんばっていますか。秋田は,寒くないですか。くれぐれも,かぜなどひかぬよう…。」 今,10年の時を越えて,子どもの心を大切にする気持ちだけは忘れまいと,強く心に誓った。