福島県教育センター所報ふくしま No.103(H04/1992.6) -020/038page
<学校からの実践報告>
目ら学習する子どもを育てる指導
一自力追究を大切にした授業はどうあればよいか一舘岩村立上郷小学校教諭 渡 部 岩 男
1.はじめに
本校では,平成元年度より新学習指導要領の趣旨をふまえ,「自ら学習する子どもを育てる指導」を研究の主題とし,算数科を中心として,「一人一人の自力追究を大切にした授業はどうあればよいか」を副主題に掲げ研究に取り組んできた。
日常の授業において,「分からない」「できない」「意欲が持てない」という子どもへの理解を深め,学習の障害となっている要因を探るとともに,子どもたちの学習意欲を喚起することを研究のねらいとしてきた。
2. 仮説
子ども一人一人のよさを認め,多様.な解決方法を引き出し,互いに練り上げさせる授業を組織すれば,自ら進んで学ぷ態度が身につくであろう。
(1)「子ども一人一人のよさを認め」とは
たとえ誤った考え方や答えがあっても,それ自体価値をもっていると考える。安易に一部の考え方を切り捨てず,それぞれの考え方のよさを認め合うことによって,成就感や自己存在感を味わわせる。
(2)「多様な解決方法を引き出し」とは
学習課題を追究しようとするとき,個人差は解決方法の多様さという形で表れる。様々な解決方法に触れさせることは,自らの追究方法を見直すきっかけになるとともに,よりよい追究方法を求めていこうとする態度の育成へとつながる。
(3)「互いに練り上げ」とは
自力解決で得た成果をもとに,考え方や手順について話し合い,互いに着想の豊かさや解決の仕方を吟味し合うことによって,自分の解決方法をふり返りながらよりよい解決方法を求めさせることである。
(4)「自ら進んで学ぶ態度」とは
学習課題を自らのものとして受け止め,既習事項や既有経験を生かして自力解決し,友達の考えとの比較を通してよりよい考え方を求めていく態度である。
3.研究の概要と考察
(1)研究の重点と実践事項
1.子ども一人一人の実態をどうとらえ,それを指導の中にどのように生かしていくか。
事前において,一人一人の児童の実態を把握し,それによって子どもの反応予測をつくり,個に応じた指導の充実を図る。(資料1)