福島県教育センター所報ふくしま No.103(H04/1992.6) -029/038page
解にとどまりがちであるが,聞きとったことに適切に反応することが,コミュニケーションを図ろうとする態度の育成に大切である。そこで,自己表現活動に,相手の話すことに反応する場面を設定することで,その態度の育成を図った。
3. 考察
ア. 授業中の生徒の観察から
○ 分析カードについて
予想以上に,生徒が喜んでカードを用いる姿をみることができた。これは,教師に自分の答えをすぐに伝えたいという気持ちを抵抗なくカードで表現できたからだと考えられる。
また,教師にとっても,一目で生徒の理解度がチェックできるため,すぐに適切な指導援助ができる点でも有効であった。聞くことの評価は他の領域と違い,すぐに生徒に返すことで効果があることからも,聞くことの活動の活性化に役立ったと思う。
○ その他…(略)
イ. 生徒の自己評価(調査結果)…(略)
ウ. 事前・事後・把持テスト…(略)
(3) 検証授業の結果
1. 授業中の生徒の様子や自己評価の結果から,聞く活動を活性化することに分析カードは有効であった。
2. 事前・事後・把持テストの結果から,聞かれたことに対して英語で答える力が,かなり伸びていることがわかった。
また,授業中の積極的な生徒の取り組みの様子から,今回の活性化を図る指導の手だてにより,生徒が意欲的にコミュニケーションをしようとする態度の育成が十分に期待できることも分かった。
以上の結果から今回の仮説は有効であったと恩われる。
5.研究の成果と課題
(1) 研究の成果
○ 「聞くこと」の活動は,生徒にとって,とかく受動的になりやすい傾向がある。そこで,生徒に意欲的に取り組ませるための効果的方法の一つとして,分析カードを活用したことは有効であった。また,形成的評価という観点からも有効であった。
(2) 今後の課題
○ 分析カードを用いることに新鮮さが失われないようにするため,バライティに富んだ使用方法と活動内容にしなければならない。
○ 英語で積極的にコミュニケーションしようとする態度を育てるため,いっそう言語活動の活性化が必要である。