福島県教育センター所報ふくしま No.106(H05/1993.3) -008/038page
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事例を通した教育相談の進め方に関する研究
開 発 的 な 指 導 援 助 の 在 り 方
(第3年次) 教 育 相 談 部
本研究では,児童生徒に自らのよさや可能性に気付かせ,将来の見通しを意識しながら自己実現を目指して意欲的に生きていくことができるようにする「開発的な指導援助の在り方」について,3年間にわたって実践的に研究を進めてきた。
本年度は,2年次までに明らかにされた開発的な指導援助に必要な6つの要点と12の基本的対応を踏まえた指導援助を,教科指導を中心とする学校教育活動の全領域で実践し,開発的な指導援助の研究を深め,その在り方についてまとめた。1.研究の内容
(1)実践に当たっては,開発的な指導援助の6つの要点に関する学級の実態を事前調査によってとらえ,実践するための中心となる要点を明らかにした。
(2)各要点相互の関連を図りながら指導仮説を立て,検証のための実践を行った。
(3)実施後に事後調査を行い,学級及び個人の変容をとらえ,指導仮説の妥当性の是非を考察した。2.研究の成果
本年度の研究実践を中心として,3年間のまとめを行ったが,結果については次のように要約できる。
(1)開発的な指導援助の基盤は,教師と児童生徒及び児童生徒相互の望ましい人間関係である。
(2)開発的な指導援助は,学校教育の全領域にわたって充実させることが必要である。
(3)6つの要点に基づく指導援助は,開発的な指導援助のために必要不可欠のものである。
(4)「健康」「安全」「所属と愛憎」に関した指導援助は,他の指導援助のための基本的条件である。
(5)6つの指導援助は単一に機能するのではなく,相互に深くかかわっている。(6)開発的な指導援助は,児童生徒に対する教師の有り様が深くかかわっている。
(7)児童生徒の「よさ」や「可臼艶」に気付くことができるように,教師自身の感性を豊かにすることに心を砕かなければならない。3.次年度の研究の方向
3年間にわたって実践的に進めてきた本研究も本年度で一応終了し,次年度からは現在,社会的にも大きな問題となっている「学校不適応児童生徒への援助の在り方」について,3年間にわたって研究を進めていく。