福島県教育センター所報ふくしま No.106(H05/1993.3) -009/038page

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所員個人研究
(小学校 国語科)

文学的文章の主題に迫る指導法の工夫

 学習指導部  佐 藤 吉 則


1研究の趣旨

(1) 研究の動機とねらい
 物語や小説等の文学的文章を読むことは,楽しみなことである。読み進むうちに表現されている内容や作者の意図したことが理解できると,「分かった」「なるほど,そうだったのか」などと,思わずひざを打ちたくなるような読書の充実感を覚えることが多い。
 しかし,これまでの国語科の指導実践を反省してみると,児童に文章の読後の感想を書かせたり,主題を書かせたりするなどの学習活動をさせてはきたが,文学的文章の主題に迫る読みの手順を系統だてて指導してきたことは少なかった。
 そこで,本研究においては児童に文学的文章の読解の一方法を理解させ,主題に迫ることができるようにする指導法の工夫を実践研究を通して探ることとした。

(2) 児童の実態
研究協力校の福島市立A小学校6年4組(33名)児童の実態を,次の3点から調査した。

1.知能検査の結果
2.学習内容診断テストの結果
3.学級担任の所見

 知的水準も,個人間の散らばりも平均的な魑の轍集団で,全国から見て特に偏った傾向は見られなかった。学年相当の学習内容診断テスト実施が1学期末だったので,時期的に学習内容が習得されていると思われる項目は少なかった。普段の学習態度は楽しく取り組んでいるが,国語の学習の仕方が十分に身に付いているとは言えない。全体的におとなしく,話し合い活動も活発でないことが多い。

2.研究仮説

(1)仮 説
文学的文章の主題を読み取る学習において,文章全体の構成を把握し,象徴を表している言葉(象徴語)を分析追究すれば,全体を見通した理解ができるようになり主題に迫ることができるようになるであろう。

(2)仮説についての基本的な考え
 1.文章全体の構成
 文学的文章だけでなく,ひとまとまりの文章は,必ず構成をもっている。それを理解することは,全体を把握することによって初めて可能になる。つまり,文章の構成は「読み」の最終段階になって分かるわけである。経験的にはそのようになると思うが,読む前に構成を知ることは次のようなことから可能であると考えられる。文学的文章の構成は,理論的にある形式をもっているということが設定できる場合,文章全体が分かっていなくても,文学作晶の冒頭,


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