福島県教育センター所報ふくしま No.106(H05/1993.3) -010/038page

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事件の発端,クライマックスなどと考えながら読むことができる。そこで,本研究においては文学作晶の構成を下図のように設定し,指導に役立てることにした。

作品の構成

2. 象徴を表す言葉(象徴語)

 言葉には表と裏の意味がある。例えば,次の3つのことわざはよく知られているところであるが,表の意味どうしは違う。

A 猿も木から落ちる(=木登りのうまい獲でも,時には木から落ちることもある)
B 河童の川流れ(=泳ぎのうまい河童で杢時には川におぼれることもある)
C 弘法にも筆の誤り(=能筆家の弘法大匿でも,時には誤字を書くこともある)

 しかし,上記の裏の意味は「その道の専門家,熟練者でも,時には失敗することもある」であり,共通している。
 表の意味は,現象的(個別的・具体的)だが,裏の意味は本質的(一般的・抽象的)である。無関係だと思い込んでいたものが,本当は同類であったということが発見できるようになる。いわゆる本質の世界,論理の世界に目覚めるようになる。児童にとつて,これまで見えなかった新しい世界が展開し始めるようになると思われる。文学的文章に出てくる「象徴を表す言葉(象鶴吾)」は,物語の思想,主張を豊かにするような別の意味を有している。そこで,主題を理解するまでの過程において象徴に関係する言葉(象徴語)を分析追究することによって主題に迫ることができると考えた。

3.実際の授業事例

〔使用教材〕小学校6年『ガラスの小びん』
(1) 文章全体の構成をとらえさせた授業
 伝統的な文章作法の中から生まれ,内容の展開に着目した構成の一つに「起承転結」がある。また,このような構成をもち,児童の身近なものとして新聞の4コマ漫画がある。そこで,4コマ漫画を使ってストーリーの運びの基本形を理解させ,それを利用して文章全体の構成をとらえさせることにした。
 授業においては右に示す新聞の4コマ漫画(東海林さだお作『アサッテ君』毎




4コマ マンガ


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