福島県教育センター所報ふくしま No.106(H05/1993.3) -021/038page
所員個人研究
学級で孤立傾向にある児童への指導援助 教育相談部 後 藤 ヨ ネ
1.研究の趣旨
児童の日常の活動を観察していると,集団での活動に参加することを避け1人でいたり,頭痛や腹痛を訴えて保健室へ行ったりする児童が増えてきている。
このような中には,後に不登校など,学校生活に適応できなくなってしまう児童もいる。
児童が成長する過程において,学級内の人間関係が重要であることはいうまでもないが,家庭内における家族のかかわりの中で所属感や存在感を味わっていくことも, 子供の心理的な充実感を図るうえで欠くことのできないものと考えられる。
そこで,学級内で孤立傾向にある児童を,家庭との連携を図った指導援助によって,家庭での所属感や存在感を味わわせることができれば,児童を精神的に安定させ意欲的に学校生活を送らせるための指導援助の効果を高めることができると考え,この主題を設定した。2.研究の仮説
児童の問題行動の原因となっている心の不安を諸検査等を通して客観的にとらえ,担任が家庭との連携を図りながら児童に存在感や満足感を味わうことができるように継続的に指導援助をすれば,児童は安定した気持ちで学校生活を送ることができるようになり,集団活動にも意欲的に参加するようになるであろう。
3.研究計画
(1)対 象
S小学校6年男20名,女18名,計38名
(2)学級の実態
5年生から持ち上がりのクラスである。活発な児童が多く,球技大会などには練習計画を立てて熱心に取り組み,優勝したこともある。
また,学習面でも,課題に対して真剣に考え解決しようとしたり,発表したりしている。乱暴な言葉遣いや物を隠すなどのいたずらは見られるが,特に,大きな問題はない。
一見,活気があるように思われるが,消極的で孤立傾向にある児童もおり,本人の力だけでは解決できない家庭環境や生育歴の問題などがあり,このままの状態が継続すれば新たな問題行動につながると思われる者もいる。
(3)方法
研究の方法は,諸検査だけに頼らないで担任の観察やこれまでの記録などから,総合的に判断し指導援助の方向を定めることにした。