福島県教育センター所報ふくしま No.106(H05/1993.3) -022/038page

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図1 指導援助の方向

4.指導援助の実際

(1) 諸検査による実態把握
 児童の現在の姿の実態を正確にとらえるために,次のような検査を実施した。

1.ソシオメトリックテスト
学級集団内の人間関係を把握するために,ソシオメトリックテストを実施した。
2.GAT(田研式不安傾向診断検査)
児童一人一人の行動を支えている心理的な面を理解するために,GATを実施した。特に,どんなことに不安を感じているかその傾向を知って指導に役立てた。

(2) 指導援助の実際
 以上のような実態から,指導の方向を次の3つに絞り実践した。

1.学級集団への指導援助
○ 一人一人がかけがいのない存在であることを,担任が全員の前で認めたりほめたりすることによって分からせる。
○ 担任は児童とともに活動することに努め,授業以外の場での児童のつぶやきなどもしっかり受け止めるようにする。
○ 学級全体で取り組む活動を計画し,全員に役割を与え,存在感を味わわせることにより意欲を持たせる。

2.個への指導援助
○ これまでの記録や検査の結果,児童のおかれている家庭環境などを考慮し,個に合った指導方針を立て援助する。
○ 全員の児童に教育相談を行い児童の気持ちを理解するとともに,孤立傾向にある児童4名に対して,それぞれ教育相談を行うとともに,家族の協力を得ながら指導援助に当たる。

3.家族への指導援助
○ 人格形成に最も大切な温かい家庭づくりに親が関心を向けるように,学級懇談会や家庭訪問などの機会を活用し啓蒙する。
○ 表面に現れた子どもの言動だけに目を向けることなく,その気持ちを理解することが大切であることを分かってもらう。
○ 規則正しい生活は,明日への活力を生むことから,家族全員が本人の生活のリズムを崩さないように働きかける。

(3)個の指導援助の実践例

I子の例
1.問題の概要
 ○わがままで短気,けんかになりやすい。
 ○目立ちがりやで協調性に欠けるため,友達が少なく集団からはずれる。
 ○負けず嫌いで頑張るが学力は低い。
 兄姉の成績の良いことを自慢する。

2.資 料
家族力動図

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