福島県教育センター所報ふくしま No.106(H05/1993.3) -024/038page
<<学校からの実践報告> >
主体的な学習活動を促し思考力を高める理科指導
−実習に表計算ソフトウェアのグラフ機能を利用して− 福島県立坂下高等学校教諭 本 間 稔
1.はじめに
近年,学校へのコンピュータの導入が急速に進み,教材ソフトウェアの開発を含めコンピュータを用いた授業に対する研究が盛んに行われている。本校においても,学力向上に関する研究の一環として,コンピュータの利用に関する研究に取り組んでいる。シミュレーションなどを含めたCAIソフトの開発・作成は多くの時間と労力を必要としている。そのことが,生徒の興味・関心を高め学習効果を上げることが分かっていても,多くの教師のコンピュータ利用を妨げる一つの要因になっている。
そこで,今後のコンピュータ利用の大きな鍵を握るのが必要なソフトを自作するというのではなく,市販ソフトをどう授業に活用していくかという点であろう。
理科については新学習指導要領に「解決すべき課題についての惰報の検索,結果の集計・処理などに,適宜コンピュータなどを活用させる」と明記されている。観察・実験にどう利用していくのか,現在,模索の段階である。生物の授業において市販ソフトによるデータ処理を取り入れた生態実習を行ったので報告する。2.研究の趣旨
本校生の実態はどうであろうか。「グラフの作成」および「グラフからの考察」について調査した結果を次に示す。
表よりグラフを作ることができるか
本校生は縦横の目盛りを自分で決めグラフを作成することやグラフから考察し結論を導き出すことを不得意としていることが分かる。他の調査からも,半数の生徒が「考えること」を最も不得意としている。
そこで市販の表計算ソフトのグラフ機能を用いコンピュータでグラフを作らせ,そのグラフから考察させる。さらに,それを何回か繰り返すことにより思考する 習慣を身に付けさせ,学習効果を上げることを試みた。3.表計算ソフトウェアによるグラフ作成の実習
全生徒が表計算ソフトを使用するのが初