福島県教育センター所報ふくしま No.106(H05/1993.3) -030/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

7.まとめ

 これまで述べてきたように,家庭と連絡を取り合い,A子の変容状況に応じた対処を講じてきたことにより,両親のA子へのかかわり方が改善されていった。
 おむつ換えのとき,自分からおむつを持ってきたり,妹に寄り添いながら,やさしくあやしてくれるようになり,それとともにA子の精神状態が安定していった。
 「お父さん,何日に帰ってくるの?」と父親を待ちこがれるようになった。また,植木や金魚の世話など,自分の仕事をすすんでできるようになった。
 現在では,家で友達のことを話題にするなど,学校への関心も高まり,2学期の中ごろから断続的ながら元気に登校している。

母子分離不安から不登校となった児童への対応

母子分離不安から不登校となった児童への対応は,一人一人によって異なるものですが、ここでは,一般的な対応について紹介します。

○教師の対応
・家庭訪問をして一緒に遊び,ほめたり励ましたりしながら満足感と自信を与える。
・子供と離れられない母親がいてよいという意識をを持ち,学校に母親用の机や椅子準備するなどして母親自身の精神的安どを援助する。
・本心が母親とともに登校することから始め,段階的に母子間の距離を離していく。
・動的な遊びを取り入れるなどして行動の拡大化を図り,集団参加への道を開くようにする。

○家庭への対応
・担任との信頼関係をつくり,母親の過保護や過許容な養育態度に気付かせ,徐々に子離れできるように援助する。
・母親と面談して,子供の甘えに負けない一貫したしつけの自覚を促す。
・子供にできることは子供に任せるなど,徐々に依存性をなくす方策について助言する。
・多くの子供と遊ぶ機会を設けるなど,社会性の育成に力を入れてもらう。
・父親に母子未分離の状態を理解させ,子離れ,母親離れに努めてもらう。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。