福島県教育センター所報ふくしま No.106(H05/1993.3) -031/038page

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研修者研究報告
<<教育研究法講座> >

個に応じた到達度目標を設定し,地理的な見方や考え方
の基礎を培う実践の試み

 川俣町立川俣中学校教諭  齋 藤 吉 成


1.研究の趣旨

入学当初,1年生を対象に杜会科の学習に対する意識調査を実施した。結果は,社会科は覚えることが多いなどの理由で嫌いだとする生徒が4割を越えた。また,地図帳などをみて調べることは好きだが,調べた地理的事象を結びつけて考え,地域の理解を深めようとする生徒は少ないことも分かった。5月末,1年生にとって初めての校内中間テスト(地理的分野のみの内容)における,検証学級の得点分布は次のようになった。

得点分布図
 ここに示されているように,中学校杜会科のスタートに拍いて地理的分野における生徒間の学力差は大変大きいことが分かった。
 そこで,個々の実態に応じて到達度目標を設定し,常に自らの追究の仕方を振り返らせることによって,地理的な見方や考え方の基礎を培っていきたいと考えた。

2.研究仮説

(1)仮説
地理的分野の学習において,生徒一人一人の学力や興味・関心に応じた課題を選択させ,自らの追究を確かめながら達成感を味わわせていけば,地理的な見方や考え方の基礎が身に付くであろう。

(2)仮説についての説明
1.「地理的な見方」について地域の諸事象の位置や分布,他地域との比較や関連から分かる各地の地域的特色の差異や類似性などをとらえること。
2.「地理的な考え方」について
諸事象の成因,各地域の相互依存や競合関係,自然や社会的条件と人間との関係,ならびに地域の変容の動向や意味などにまで踏み込んでとらえること。
以上のように「地理的見方」「地理的な考え方」をとらえ,これらの基礎を培うために以下のような手だてを考えた。

[手だてI・課題選択学習の導入]

各目標の構造図


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