福島県教育センター所報ふくしま No.110(H06/1994.3) -004/038page
かねない。
そこで,中学には限らないが,マルチウィンドウの使えないような旧型パソコンをかかえている学校や文部省の関係者にとって必要なことは,パソコンの導入がー段落したと考えないで,新型パソコンの導入に努力することである。さもないと,学校のパソコンが小学校や子供の家庭にこれから入るパソコンに見劣りするということになりかねない。
コンピュ‐タ・ネットワ−クの導入を!
学校への最近のパソコン導入状況をみていると,ハードウェアの台数では,わが国も欧米並みあるいはそれ以上になったのではないかという気がする。しかしまだ決定的に遅れている面がある。それはコンピューターネットワークである。
ネットワーク導入の前提としては,まず学校内のすべてのパソコンを構内ネットワーク(LAN)でつなぐことが必要である。最近のパソコン教室にはLANが導入されることが多いが,その目的は生徒のパソコンと教卓の先生のパソコンとをつないだり,プリンタを共用したりすることにあるらしい。
しかし,今後ぜひやりたいのは,パソコンとLANを使った個人間のコミュニケーションである。とくに電子メールは,キーボードさえ打てれば小学生でも扱えるから,使えるようにするとよい。
LANができたら,次は学校の外の世界,つまり他の学校や一般の世の中との交信である。これには最低限で専用の電話線がいる。日本の学校では,ファックス用であっても専用の電話回線を引くのは大変だといわれているが,欧米の学校に見習って,この状況はぜひとも変えたい。
電話回線の確保にどうせ苦労するのなら,思い切ってISDN(ディジタル電話)回線あるいは64Kbps(キロビット/秒)のディジタル専用線の導入キャンペーンをやってはどうだろうか?この専用線の使用料は近距離なら月額6万円台である。
さて外部につなぐとき,どこへつなぐかだが,いわゆるパソコン通信システムにつなげばよい。ただ電話線を普通に使うと一時に1人のひとつしかつなげないから,学校としては不十分である。
それよりも有用なのは,インターネットにつなぐことである。インターネットはネットワーク(主にLAN)を相互につなぐ「ネットワークのネットワーク」である。インターネットとしては,日本全国各地に地域ネットワークがあり,それらをつなぐネットワークとしては文部省直轄の学術情報センターのSINETもあり,いずれも小中高の接続を受け入れを計画している。
これらはどれも国際ネットワークともつながれているから,小中高校が最寄りの地域ネットワークやSINETのアクセス・ポインドを通してインターネットに加入すれば,世界中の学校とのコミュニケーションが可能になる。K12ネットと呼ばれる国際的な学校ネットワークとの交信もできる,これの利用を生徒に経験させることは,今の国際化と情報化の時代には,非常に重要である。