福島県教育センター所報ふくしま No.110(H06/1994.3) -001/038page
《学校からの実践報告》
コミュニケーション能力の養成は徹底したリスニング指導から
−オーラルコミュニケーション導入を前にして−
福 島 県 立 福 島 南 高 等 学 校 教 諭 田 辺 英 憲
1.もっとリスニングを
英語が話されている国を訪れたり,英語を母語とする人と接する際,困難に感じることは「話すこと」より「聞きとり」の難しさであることが多い。日常生活の中で,話すことより聞くという作業により多くの時間を費やしているという事実は.リスニングが語学学習において重要な位置を占めるものであることを示している。4技能の中で最も習得が困難と考えられていながらこれまであまり重視されていたとは言えないリスニングの指導に焦点を当て,どうしたらnative speakerの英語が聞きとれるようになるかについて考えてみたのが本実践のきっかけである。
2.なぜ native speaker の英語は聞きとリにくいのか
何年英語を勉強しても,どんなに単語を覚えても,ネイティプスピーカーの英語は素直に耳に飛ぴ込んでこない。なぜなのだろう。その理由を考えてみた。
(1) Changes in sounds(発音の変化)
3. assimilation(音の同化)
(例)ten bikes〔tem baiks〕
(2) The rhythm pattern(特有のリズム)
英語は stress がほぼ等しい間隔で現れる‘tum tum’リズムの言語である。
We bought you a book.
We have bought you a book.
We could have bought you another book.
これらのことは知っておく必要がある。
3.リスニングのカを伸ぱした3つの実践
以上のような困難点を克服しようとした様々な試みのうち,特に効果のあった指導法について述べてみたい。
(1) Jazz Chanting で英語のリズムを練習
Jazz Chanting の本来の目的はリスニングとスピーキングの力を伸ばすことであるが,同時に,特有の表現やリズムの習得にも役に立つ。Jazz Chanting を毎時間継続して最初の5分間に採り入れたら,英語のビートを体得できるようになった。
〔使用したテキスト〕
Carolyn Graham
JAZZ CHANTS FOR CHILDREN(oxford U.P.)
(2) Live Listening で自然なリスニング
教科書用のテープは日本の生徒を対象に作られており,実際に話されている英語とはかなり差がある。AET(英語指導助手)に教科書内容を自然な英語で話してもらい,