福島県教育センター所報ふくしま No.110(H06/1994.3) -022/038page

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4.研究の成果とまとめ

(1) 研究の成果

1. 英語スピーチコンテスト,レシテーションコンテスト,英語劇出場者の表現力がアップした。

2. 「英検2級」合格者が大副に増加(25名)した。特にスピーキンダが中心の二次試験では90%という高い合格率を示した。

3. 英語による面接を課す大学・短大への合格者が増加している。

これらは全て,リスニング力の向上がスピーキング力の向上に寄与したものと考えられ,spoken fluency というものは直接話す練習をして獲得されるものではなく,聞いたことを理解していく過程で獲得されるものであることがわかる。

(2) まとめ

前述の実践例3つのうち2つはAETの協力を得ているが,やはりAETの力を借りるとかなり広がりのあるリスニング指導ができる。活動の中では,かなり現実の言語便用に近いことを学習者が行うことが望まれてくる。Willam Littlewood はその者 Communicative Language Teaching(1981)の中で,活動は次の図のように分けられると述べている。

リスニング指導

この分類の Role-playing あるいは Improvisation の要素をかなり含み込んだのが前述のジグソーリスニングであり,その点から考えてもこれはかなり現実の言語使用に近いと言える。新科目「オーラルコミュニケーションA・B・C」はこういった活動に極めて近いものを要求しているが,ジグソーリスニングがそれに応えうる指導法のひとつであることは確かである。

その他の例では,ビデオ教材を利用した Jigsaw Viewing が興味をそそられる手法の一つである。これについては現在勉強中のためここで論じるまでには至ってないが,ビデオ教材を利用した学習には抵抗感が小さいという学習者の心理特長を生かせば期得以上の効果が望めるものと予想される。

ともあれ,「コミュニケーション能力の養成は徹底したリスニング指導から」−これが私の得た結論である。


1)インフォメーション・ギャップとは,話し手と聞き手の間で特定の情報が共有されていない状態をいう。

2)クラッシェンは「学習者はi段階(iは学習者の能力のレべル)からi+1段階(i+1とは自然な習得順序に従って,i段階の直後にくる段階)へ,i+1を含む言語を理解することによって移行する」と述べている。(The Natural Approach Pergamon/Alemany 1983)


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