福島県教育センター所報ふくしま No.110(H06/1994.3) -023/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

平成5年度ブロジェクト研究紹介


「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」

(第2年次)


学 習 指 導 部



本研究は,自ら学ぶ意欲や思考力,判断力,表現力を重視する新しい学力観に基づき,児童生徒の個性(「よさ」)を生かす学習指導と評価の在り方を追究しようとするものである。

本年度は,3年計画の第2年次として,中学校外国語科(英語)において,「英語でコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するための関心・意欲・態度の評価の在り方の研究」を実施した。その際,事前にアンケート調査を実施し,問題点の焦点化を図りながら,英語におけるコミュニケーション能力の育成とコミュニケーションへの関心・意欲・態度の伸長を図る指導の工夫と評価の在り方を実践的に明らかにしようとした。

授業と評価

英語の授業時数が1時間増え,プラス1として活用できることをふまえ,半年間に次のような4回の検証授業を実施した。

I 野外活勤計画の英文での作成・説明
II 映画の吹き替え練習・発表
III テキストのコミュニカティプな指導
IV AETとの文化の相互伝達

などである。これらはいずれも,日常のクラスルームイングリッシュと音声中心のコミュニケーション活動を組み合わせることによって,英語によるコミュニケーションの楽しさや十分な声量で明瞭に話すことの大切さ,異文化理解の重要性を理解させようとするものである。また評価については,これらの四つの授業の中で,自己評価や相互評価,教師からの評価を学習のまとまりごとに実施し,生徒がコミュニケーションへの関心・意欲を高めながら,自らの「よさ」を見いだしていけるように援助した。

研究の成果と今後の課題

自己評価を重ねるごとに,生徒たちは自分自身を厳しく見つめ,励ますように変容していった。相互評価についても,適切な条件設定をすることで,次第に温かさと公正さを持つものに変り,お互いの「よさ」を認め合っていった。また教師は,このような生徒自身の評価活動を生かしながら,指導にフィードバックすることができた。このような学習指導と評価の手だての工夫が,生徒のコミュニケーション能力とコミュニケーションへの関心・意欲・態度を大きく変容させていくことが検証された。

今後の課題として,1. コミュニカティプな指導を普段の授業にどう取り入れていくか 2. 生徒の自己評価,相互評価を評定にどう生かすか,という2点をあげることができる。本研究では,評定の在り方について一つの提案を行っているが,今後もさらに様々な角度からの検討が必要であろう。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。