福島県教育センター所報ふくしま No.110(H06/1994.3) -034/038page

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研修者研究報告


「一人一人が進んで事象とかかわり,
科学的な見方や考え方を深めるためのカードの工夫活用」

−水のすがたとゆくえの授業を通して−


田 村 郡 船 引 町 立 船 引 小 学 校 教 諭 佐 久 間 周 一



1.研究の趣旨

(1) 研究の動機とねらい

学習指導要領総則の配慮事項の中には,自主的・自発的な学習が促されるよう,学習内容を確実に身につけることができるよう指導法の工夫改善に努めることがあげられている。また,これまでの一斉指導・画一的指導を改善すべきであると言われている。

それは,児童の活動が受動的になり,常に指示待ちの児童をつくってしまう恐れがあるからである。そこで,知識・理解面を「教える教育」から,思考・行動面を「育てる教育」へと転換する必要がある。更に,一人一人が自然の事物・現象に主体的に関わることを通して,事象に対する科学的な見方や考え方を育てることが大切であると考え,標記の主題を設定した。

(2) 問題点

1. 事象に対しての見方が傍観者的で,見方や考え方が余り深まらない児童がいる。

2. 自己の学習を深く見直し,改善しようとしない児童がいる。

3. 事象に対する科学的な見方や考え方を深める観察カード・ノート指導が十分でなかった。

4. 児童の学習活動を振り返らせる場が少なかった。

2.研究仮説

(1) 仮説

「水のすがたとゆくえ」の学習において,振り返りカードを用いて学習への取り組み方をとらえさせたり,気付きカードを活用して事象に対する気付きを書かせたりする機会を継続して設定すれぱ,進んで事象に働きかけ,科学的な見方や考え方を深めることができるであろう。

(2) 仮説に関わる概念規定とその有効性

◎ 「振り返りカードを用いて,学習への取り組み方をとらえさせる」

まとめの段階で,自己・相互評価できるようにする。自分の言動や努力などを認めてもらったり,自分で確かめたりすることで自己の学習の仕方をとらえさせることができる。ここでの満足感が,次の学習への意欲となって,進んで取り組むようになる。

◎ 「気付きカードを活用して事象に対する気付きを書かせる」

感嘆詞や接続詞をカードにし,観察実験の段階で,カードを文頭にして気付いたことを記入する。得られた情報をもとに対話することで,事象への見方や考え方が深まると考える。また,自分自身のこれまでの見方や考え方を振り返り,これまでの見方や考え方を修正したり,深めたりするのに


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