福島県教育センター所報ふくしま No.113(H07/1995.2) -004/038page

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その「核心」を「小数教材」を例として述べてみると次の5点に要約することができる。

1. 測定という行為に着目すること
2. 単位より小さなはんぱに着目すること
3. 単位と,もとの単位に着目すること
4. はんぱと,もとの単位に着目すること
5. 十進小数と,はんばに着目すること

そして次のような「核心」を含むたとえば物語教材のイメージが形成されてくる。

* むかし2本の川にはさまれた小さな村があった。
* 毎年秋になると運動会が開かれる。
* 走り幅とぴも種目に加えられる。
* そんな運動会が50年も続いたが,1位の青年におじいさんが言った。
「このごろの若者はだらしない。わしはずっとたくさん飛んだ。」
「そんなことはない。」
そして村でけんかが始まった。
* そして従来の長さの単位であるL以外に,PとUという小単位が生まれた。
* しかしこのLとPとUの関係はまだはっきりしないまま測定が続けられた。
* そしてPの大きさを微調整して,LをPのちょうど整数倍にしておくところにまでもっていった。さらにUも調整されていった。

この教材の「核心」は常に教師の問題意識によって,必ずしも同一の固定的で静的な全体構造を創りあげないで,むしろ教室の子どもの実態や意識状況を念頭においていわば柔構造的な把握によって全体構造がイメージされていくのである。


以上において,私は,やや特殊な「小数教材」を例にして,「教材研究」の切り込み方について述べてみた。

ここからもうかがえるように,「教材研究」において重要なことは,算数教材のいわば定義的教材においてすら,教師は,いわば「教えこみ的」方法で切り込むのではなく,教科書教材そのものを,丹念に分析・整理して,子どもの「目線」から,教材の全体構造をいかに創りあげるのか,という点がポイントであるということである。

それゆえに,教材の「裾野」と「核心」に向かう教師の目とそれを支える教師の問題意識の重要性を強調したのである。

3.確かな学カの育成と「基礎・基本」

十数年まえに,教育学会で話題となった中学校杜会科教師の授業を見学に行ったことがある。

この教師の授業は「子どもが動く授業づくり」ということで「確かな学力の育成」のためにも,子どもに豊かな関心・意欲を育てることを重視し,授業における子どもの主体性の尊重を大切にしていた。

しかし,その授業に対して,「それで本当に豊かな学力が育つのか,基礎基本が習得しうるのか」という問題が提起され,あ


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