福島県教育センター所報ふくしま No.113(H07/1995.2) -013/038page

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第2の視点は,目の前の生徒をどう変容させてやりたいのか,すなわち,その教材で生徒に何を身に付けさせたいのかということである。

将来にわたって生きて働く力としての数学を身に付けさせるためには,教師の説明を聞き理解するような生徒を育てるばかりでなく,自ら興味・関心を抱き意欲的に立ち向かう生徒を育てるようにしなければならない。このことこそが生徒にとって数学的な見方や考え方を身に付けるために必要なことなのである。このためには,目の前にいる生徒が,既習の教材をどのように受け止め,どのように立ち向かってきたのかをもとに,本時の中心的な教材にどのように立ち向かってくるかを予測することである。このとき教材は,多様な考え方を持つ生徒の立ち向かいに耐え得るものでなければならない。さらに,本時で獲得した力が他の領域の学習にも転移し得るものでなければならない。このような教材は,教科書にあるものだけを扱うといった安易なとらえ方では不十分で,教師自身の数学観に立って,次に述べるような視点で教材を選択していくようにしなければならない。

2.教材選択の視点

生徒の数学における学習意欲を喚起するために,価値のある教材を選択しなければならない。教材選択の視点として次の3点をあげることができよう。

1. 学習の必要感があること。
2. 数学的なよさや有用性があること。
3. 発展性があること。

次にこれらのことについて具体的な教材を通して考えてみたい。

(1) 学習の必要感があること

学習の必要感は生徒の学習態度を積極的にする。それでは生徒はどんなときに学習の必要感を感じるのであろうか。

例えば,中学校1年で扱う「空間図形」においては,次のような教材の提示の仕方が考えられる。

「空間図形」

生徒のさまざまな発言から立体の仲間分けの観点を引き出し,単元の学習計画に生かすのである。例えば,3(マル3)4(マル4)8(マル8)が仲間であるという発言を取り上げて「すい体」の学習をしたり,2(マル2)5(マル5)9(マル9)10(マル10)を仲間とする発言を


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