福島県教育センター所報ふくしま No.113(H07/1995.2) -015/038page

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確 か な 学 力 を 育 て る 教 材 研 究 ( 英 語 )


1.教材研究の視点

中学校の教科書では言語材料が量,質ともに相当限られている。一方,教科書で取りあげられている内容は多岐に及んでいる。それだけに教材研究をすべきところが非常に多い。教科書は外国語(英語)の目標に基づき指導項目が精選され,文脈をもって編集されているが,教科書をそのまま数えれば良いというものではない。生徒の実態等に合わせていろいろな活用を研究しなければならない。新しい学力観による授業が展開されている現在,表層的な教材研究に陥ってはいないかどうか,再検討する時期に差しかかっているのではないだろうか。

教科書の多くは grammatial syllabus によって構成されている。このため教科書を読んで,内容を理解させ,言語材料,とりわけ新出の文型・文法事項を定着させる教材研究に傾きがちになる。communication 能力の育成には grammatial competence (文法的能力)は不可欠である。文型・文法事項等をcommunication 能力と切り離して,単独に指導するのでなく,communication 能力の育成という基盤に立って,この視点から指導の過程の中で学習させることが大切である。communication 能力の育成という視点からの言語材料や,題材内容の教材研究が求められるのである。基本文など文型・文法的事項の学習事項が明示されているLesson(課)とそうしたものが提示されていないLet's Read を取り上げ,教材研究の在り方に触れてみる。

2.Lesson(課)の例

中学2年のLesson 8 Niagara Falls の Part 1を取りあげる。基本文はJoe is taller than Ken. であり,比較級が新出の文法事項である。

Father: We'll see Niagara Falls.
There are two fall, the American Falls and the Horseshoe Falls.
Ken: Whith are bigger ?
Father: The Horseshoe Falls are bigger than the American Falls.
Paula: Ken, that's the Rainbow Bridge. If we cross it, We'll be in Canada.
Ken: Wow, my first step in Canada!

本文を読んで生徒が次のような疑問を抱いたりしないだろうか。

「今まで which is 〜だったのに,どうして which are 〜なのだろう。文法的に正しいのだろうか。」

「the Horseshoe Falls が the American Falls よりも大きいのは本文から分かるが,高さや幅等どんな滝なのだろうか。」

「Father と Ken が話をしているところに急に Paula が割り込んでいるようで,会話の流れがなんとなくすっきりしない。どうしてなのだろう。」

「Ken が Wow,my first step in Canada! と言ったとき,彼らはまだアメリカにいる


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