福島県教育センター所報ふくしま No.113(H07/1995.2) -024/038page

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案1は,結果さえ正しければ,やり方は何でもいいというものです。

案2は,教師がやり方を決定するもので,次のように3通りくらい考えられます。

(1) 初めからやり方を教えます。できた児童を代役に使っての説明も同様です。

(2) 教師の考えた方法が出てくるまで発表をさせます。意図した方法が出た時には称賛します。

(3) 児童に発表させてから教師が一番よいものを決めます。繰り返し説明する,その方法のよさを何度も強調する,その方法で練習問題を解かせる。などが考えられます。

案3は,多数決型です。学級会などで,よく使われます。

案4は,修正型です。(オ)のように2辺をかける,陥りやすい誤答を取り上げ,みんなで正しいやり方に修正していくものです。平行四辺形の右側を左側に等積変形すれば長方形になることから,求積公式へと導いていきます。

ちなみに,4年生では長方形と正方形の求積公式を学習してきているのですから,隣り合う2辺をかけるという発想は自然です。児童に「発表して失敗した」と思わせるような扱いをしてはいけないでしょう。

案5は,それぞれのやり方にふさわしい名前をつけて,分類・整理するものです。

案6は,比較検討しながら,最もよいやり方を見つけていくものです。「簡単でわかりやすい方法」など,基準を与えて比較検討することもあります。

解決方法が多すぎる場合には,答えが正しいかどうかを調べます。次に比較検討しますが,似た考えのものをまとめていくと比較検討しやすくなります。

比較検討の視点を「速く,正しく,簡単で,いつでも使えるよい方法」とリズムカルに覚えさせておくこともよいようです。本時では,「一番わかりやすいやり方」の選沢になるでしょうか。

案7は,いくつかに仲間分け(分類)し,いろいろなやり方に共通する考え方をまとめるものです。

案8は,すべてのやり方に共通する考え方などを見つけるまとめ方です。本時では,「平行四辺形の面積も,長方形(面積の求め方を知っている形)に変形して考えれば求められる」ということです。言い換えれば,習っていない問題も,既習事項に帰着させれば解決できるということです。このように,学習を振り返って考え方をまとめることは,生きて働く力を育てる上で重要なことです。

4 まとめ方の具備すべき要件

それでは,どんなまとめ方をすればよいのでしょうか。「個を生かすまとめ方」の具備すベき要件として4つ考えました。

(1) 児童の多様な解決方法をとらえ,生かす。

(2) 児童が数理のよさを感得し,納得する。

(3) 児童が学習の成就感,満足感を得る。

(4) まとめがその後の学習に生きて働く。


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