福島県教育センター所報ふくしま No.113(H07/1995.2) -026/038page

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7 実践授業の実際

授業の後半を,簡単に説明します。

(1) 児童から出された多様な解決方法は,(ア)〜(エ)のやり方で,全部で5通り取り上げました。

発表の後で(ア)〜(ウ)のやり方の似ている点を問いかけました。児童は,「平行四辺形を長方形にして面積を求めている」という共通点に気づきました。

(2) それから,竹ひごで作った平行四辺形を提示し,「こんな変形のしかたもあるんだよ」と(カ)の等積移動のやり方を紹介しました。

(3) さらに,式の共通点「4×6」を取り上げ,平行四辺形のどこの長さを使って「4×6」の式を立てたのかを問いかけました。児童は「縦×横」の言葉を使いながら,発表カード(紙)の図を使って説明しました。発表カードは提示,保存,再生などに便利です。

ここで「底辺」「高さ」の用語を教え,平行四辺形の求積公式「底辺×高さ」を児童とともに作りました。

(4) 最後に練習問題を解き,「ふりかえりカード」を記入して本時の学習は終わりました。

8 授業の考察

この実践授業で「個を生かすまとめ方」の具備すべき要件が満たされたかどうかについて考察してみます。

要件の(1)については,児童の多様な解決方法の共通点に着目させることによって,既習の図形に変形すれぱ面積を求められること,及ぴ求積公式を導き出すことができたことから,児童の多様な解決方法をとらえ,生かすことができたと考えます。

要件の(2)についてですが,「長方形にして計算すればいい」「平行四辺形の面積はやり方がわかるとかんたん」といったような感想が多く見られました。

要件の(3)については,下の図から,児童が学習の成就感,満足感を得たように思われます。

感想

要件の(4)については,練習問題の正答率が高かったことと,求積公式を導くときの考え方をまとめたことから,まとめがその後の学習に生きて働くものと期待されます。

以上のことから「個を生かすまとめ方」の工夫が効果的であったと考えられます。

9 おわリに

「まとめ方の分類表」を手がかりとしていくつかのまとめ方を考え,「具備すべき要件」を検討の視点として,実践してみました。

先生方の参考になれば幸いです。


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