福島県教育センター所報ふくしま No.113(H07/1995.2) -027/038page
研 究 紹 介
グループ・エンカウンターを用いて,学校不適応感をもつ
児童に対し,集団への適応力を高めていく指導援助
教 育 相 談 部 深 谷 和 子
1 研究の趣旨不登校の子どもは,年々増加の傾向にある。今や「どの子にも起こりうる」と言われるようになった不登校の問題だが,昨年の教育相談部の調査によれば,登校している児童でもかなりの割合で,学校不適応意識を待っていることが分かった。
不登校に陥っている児童は,それ以前に強い学校不適応意識を持っていて,その意識が解消されることなく,不登校に陥ったと考えられる場合がある。
そこで,本研究では,こうした児童によりよい人間関係づくりが図れるようなグループ・エンカウンターを中心とした援助を行い,集団への適応力を高めていきたいと考え,本主題を設定した。
2 研究の内容<グループ・エンカウンターとは>
演習を通して今まで気づかなかった『自分自身』に気づいたり,また,自分を周囲の人間関係の中で,開いていくことにより,温かい人間関係を体験していくことである。 (1) 学級の実態調査を行い,学校不適応意識について把握する。
(2) 各教科の年間指導計画と照らし合わせながら,グループ・エンカウンターを中心とした援助の計画を立てる。
(3) 担任との打ち台わせを綿密に行い,計画に修正を加えながら,援助を進める。
(4) 援助過程において研究協力者と学級の様子や対象児についての情報交換をし,次回の援助に生かす。
(5) 援助後,事後調査を行い,学級全体と対象児の変容をまとめる。
3 研究の実際(1) 実践学級 小学校5年
男子14名 女子17名 計31名
(2) 学級の実態
1.学級全体について
○ 現在,不登校児童のいない学級であるが,学校不適応意識をみる調査においては,8割以上の児童が潜在的に学校不適応意識を持っている。
○ 更に,調査結果を項目ごとに見ると,学校不適応意識の要因として,対人関係の問題があげられている。
○ ソシオメトリックテストでは,男子では大きな集団が一つと小さな集団が二つ,女子では小さな集団が四つできていた。
また,周辺児・孤立児では,どちらも男子が1名,女子が2名いた。