福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.118(H08/1996.7) -015/042page
評価が次時への自信につながっていく。その意 味で、「まとめの学習」をそこから自信を得た り、新たな課題を見い出したりしていくような 場としたい。
(2)新たな問いの発生を促すまとめ方
I. 「兆より大きな数は?」
4年生の「大きな数」の学習のまとめの時間 に、H男から「億、兆と数が大きくなってきた けど、これより大きな数はあるのかな?」とい う問いが出された。
授業後、児童たちは「億・兆・京・・・・・ 不可思議・無量大数」と調べた。このように素 朴な問いを大切にして調べていくことが、新た な問いの発生を促す基本である。
II. 「関数y=ax3乗のグラフは?」
中学校3年で、関数y=ax2乗の性質やグラフ についての学習の中で、1次関数との比較をし た。2種類のグラフについて、グラフ・対応や 変化の様子をとらえた後、「y=ax3乗という関 数はあるの?」という、質問が出た。
ある生徒は、授業後に対応表を作り、自分一人でy=x3乗のグラフを完成させた。
このように自ら問い、解決する力を育ててい くには、常に、子ども達からの「問い」を引き 出すような授業展開を工夫していかねばならな い。下図のような、いわゆる キャンプファイア 式授業 (盛り上がるが、1時間で収束する)か ら「まとめの学習」を生かした 連続ドラマ式授 業 (次の展開が待ち遠しい)への転換が必要で あろう。
問い続ける子ども達を育てていくには、授業 の「まとめの段階」での適切な発問はもちろん、 子ども達の課題意識を引き出す問題の開発など、 さまざまな工夫が必要である。また、導入でオー プンな問題を提示するなど、学習全体を通して、 問い続けていく子どもを育てていくことが重要 である。
3 おわりに
前述のワイルズ氏は、「証明を考えるのは、 部屋がいくつもある真っ暗な大邸宅で、明かり のスイッチを手探りするのに似ている。電灯が つけば、部屋全体が見波せるが、それまではよ ろよろと歩き回るしかない。」と語っている。
「問い続ける力」を子ども達から引き出して いくことは、21世紀に生きる子ども達を育て ていく教育の根幹をなすものである。