福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.118(H08/1996.7) -016/042page
連載コーナー
あなたもカウンセラー
〜児童生徒相互の好ましい人間関係づくりをめざして〜
教育相談部
118号 互いに理解し合うことをめざした指導援 119号 互いの信頼関係を深めることをめざした指導援助 120号 互いのよさを認めながら生かすことをめざした指導援助 1 何かないかなあ?
うちの学級は、
- 忘れ物をする生徒が多いな
- それに、宿題をやってこない生徒も多い
- おめけに、授業中はうるさい。
何かないかな?と思いどおりの学級がつくれるいいアイディアは。
5月の半ば、中学校1年を担任する教師がこ んな気持ちを抱いて書店を訪ねました。
あります。あります。「忘れ物をなくすには ……」、「宿題をさせるには……」、「授業中 静かにさせるには……」。これは、まさに「か ゆいところに手が届く」といった状態です。
さっそく1冊購入してマニュアルどおり実行。 効果はてきめん。担任は、学級が落ち着いてき たことに満足しきっていました。
2 さえないタケシ
このような学級の中で、タケシも落ち着きを みせてきた一人です。この2か月、彼は先生の 指示を守ろうと必死に努めてきました。7月初句のある日、放課後の教室です。
タケシ:「あ〜あ、疲れた。部活でも行くかあ」 サチコ:「どうしたの?」
タケシ:「サッチかあ。学校って、先生に言われたことを毎日繰り返すだけだろう。疲れちゃうよ。・・・・まったく」
サチコ:「・・・・そういわれれば、そうだけど・・・・」
こんな会話をしているタケシを、思わず担任 はじっと見つめてしまいました。
その 表情はさえず 、声も心なしか力がありま せん。 『前はもっとやる気があったのになあ。 そういえば、笑顔も減ってさたような気がする ……。』 こんなことを担任は思いました。
本連載は、学級経営の土台となる「好ましい人間関係」づくりに腐心する担任の取り組みを、 タケシの心に焦点を当てながら紹介します。