福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.118(H08/1996.7) -020/042page
研究紹介
問題意識を深め、意欲を持続させる理科の指導法
〜個々のノート作りやグループでの計画書作りを通して〜
伊達郡保原町立保原小学校教諭 緑 上 隆
I 研究のねらい
本学級の児童の多くは、理科に興味を持って いる。特に、実験の時は、とても楽しそうに取 り組んでいる。しかし、児童の様子を見ている と、現象のおもしろさにばかり目が向き、途中 で問題意識が薄れ、問題を見失ったり、まとめ がぼやけてしまったりすることが多く見られた。
意識調査を行ってみると、理科の学習をおも しろいと感じたのは、わかることや発見するこ との楽しさを経験した時や自分のやり方で問題 解決ができた時であることがわかった。しかし、 疑問を持ちながらも、わかるまで調べている児 童や自分で解決方法を考え出して調べている児 童が少ないこともわかった。
以上のことは、自然現象に触れ、疑問を持つことはできるが、「何を、どのように調べれば よいか」という見通しを持って問題をとらえて いないことや問題解決活動の進め方が十分身に 付いていないことが原因ではないかと考えられ る。
そこで、まず、問題に対して、一人一人が見 通しを持って自分なりの解決方法を考え、整理 できるようなノートづくりを行い、それをもと に方法別グループを編成し、解決方法がより具 体的にわかるような計画書作りを行わせたいと 考えた。
II 研究の仮説
「水溶液の性質とはたらき」の単元におい て、次の方法で問題解決の計画を立てさせ れば、児童は問題意識を深め、意欲を持ち 続けて問題解決活動に取り組むことができ るであろう。
- 自分なりの解決方法をノートに整理し、明らかにさせる。
- 同じ解決方法の児童で話し合い、さらに具体化した計画書作りをさせる。
III 研究内容
(1)自分なりの解決方法を明らかにするためのノート作り
ノートは、自分の考えを明らかにしていく場 である。ノートには、実験前に「問題」「方法」 「結果の予想」、実験後に「結果」「わかった こと」「感想」を図や絵を用いながら書くよう にする。一人一人が個性を生かしたノート作り ができるように、教師が支援していく。
(2)個々のノートからグループでの計画書作りまでの話し合いの進め方
全体で解決方法別のグループ分けを行い、同 じ考えのグループで共通点や差異点をはっきり