福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.118(H08/1996.7) -028/042page
研究紹介
生活科指導計画の調査研究(第1年次)
教育センター学習指導部 山 邊 彰 一
I 研究のねらい
新教料、「生活科」が誕生し、早くも4年の 月日が過ぎた。全面実施後、各校では、子供の 思いや願いを大切にした授業の実践に取り組ん できており、生活科が問題提起している「体験 重視」、「個性重視」等の授業が実践されつつ あると言える。しかし、一方で地域や学校が異 なっているのに、指導内容や活動の進め方が共 通化していると危惧されている(注1)のも事実であ る。
生活科では、具体的な活動や体験を重視し、 子供の自発性、能動性を大切にしながら自立へ の基礎を養うことをねらいとしている。したが って、子供の発想や願いを大切にし、夢を持た せながら学習するという「子供の立場」からの 指導計画が求められている。さらに、子供の生 活の場である学校や地域を生かした指導計画の 作成が強く求められている。新教科であるから こそ、指導計画の充実が望まれているものと言 える。
本研究は昨年度の福島県内各小学校の指導計 画がどのように計画、実践されているかを調査 し、その結果から今後の指導計画改善の方向性 を見い出そうとするものである。
(注1)「四季の生活科」 ナンバー7 天笠茂氏の指摘
II 研究の計画・内容
平成7年1年次
- 生活科指導計画の基本的な考え方の把握
- 指導計画の調査・考察
平成8年2年次
- 指導計画の調査・考察
- 指導計画改善のポイント検討、まとめ
III 調査対象
○ 調査対象校 県内各地区の小学校60校
IV 研究の実際
1 教師のアンケートから
教師は、自校の指導計画に対してどのような 意識を持っているのだろうか。次のグラフは昨 年度、生活科講座を受講した教師60人に対す るアンケートの結果である。
学校独自の指導計画
現在のままの指導計画でよい
「学校独自の指導計画になっている」と考え ている教師は全体の25.0%、「だいたいなっ ている」と考えている教師と合わせると86.7 %である。しかし、「少し改善したい」「改善 したい」と考えている教師も80.0%になる。 これは、計画が学校独自のものであっても、学 級の実態と違っていたり、教師の教材観等に違 いがあるためと考えられ、各校の指導計画の形 式や活用の仕方等に課題があるものと考えられ る。