福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.121(H09/1997.7) -008/042page
なってきたと私自身は感じています。
チームとして指導するので、教師間の連携、協力体制が一層整ってきたと思います。
さらに、学校全体としては、T・Tを実施する前と比べて、学級や学年の枠を取り払い、全ての児童を全教師で力を合わせて育てていこうという意識や雰囲気が高まってきたと思います。
蛭田 T・Tの授業を行うことは、普段あまり授業を見せ合う機会の少ない教師同士にとっては、刺激になりましたし、いい意味での緊張感にもつながりました。
また、安心感も生まれました。例えば、予想していた反応が生徒から出ない場合に、生徒役になったもう一人の教師が、生徒とは違った考えを発表してくれたり、あるいは故意に問違った答えを発表したりすることによって、授業がスムーズに進むことがありました。
それらのことは、生徒に驚きや安心感を与えることになり、教師二人を含めた学級の全員で授業をつくっていくという、授業に対する生徒の積極性と興味・関心の向上につながったように思います。
ちなみに、生徒の意識調査では、「二人の先生の授業のほうがいい」と答えた生徒が8割を超え、また「すぐに質問できるのでいい」と答えた生徒が7割もいました。これはT・T担当教師にとって、大きな励みになりました。
さらに、生徒をきめ細かく見ることができ、客観的・多面的な評価も可能となりました。
それだけでなく生徒のつまずきや独創的な発想・考え方を生かし、学習の過程の評価を大切にすることにもなりました。
今井 授業の計画段階で、教師同士が互いに質問しあったり、一緒に用具の準備をしたりすることで、知識や実験観察技能を共有化することができました。
また、授業の相互乗り入れにより、いつ授業を参観されても抵抗感が少なくなりました。 授業中でもアドバイスを受け、授業に対する教師の意識がオープンになりました。
T・Tを実施して、他の教師の指導技術を参考にすることができ、一番力がっいたのは教師ではないかと思います。
菅野 本校では、授業参観でも積極的にT・Tの授業を見ていただくようにしました。そのため、学校教育に対する保護者の方々の理解がいっそう深まったように思われます。
二人の教師で一人一人の児童を温かく見守りながら育てようとしている学校の姿勢を保護者の方々に理解いただこうという点でも成果があったように思います。
佐久間 指導行政に携わっておられる清野先生は、各学校の取り組みについて、どのように受け止められておられますか。
清野 県の施策としてT・T方式推進モデル事業が、平成8年度の1年間実施されたわけですが、それと前後してT・Tに取り組んでいる学校が増えているようですね。加配がその呼び水になっていると思うのですが、T・Tそのものはまだまだ手探りの状態だと思います。でも、