福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.121(H09/1997.7) -010/042page
どうしても先輩の先生方に遠慮してしまったり、先生と助手のような関係になってしまったりすることがありました。
そうなっては生徒指導上マイナスです。二人の教師が、気持ちの上でも同じ立場で振る舞うようにすることが大切ではないでしょうか。
蛭田 本校の数学科では、「発展コース」「標準コース」「基礎基本コース」の3つに分けて授業を行いました。コース分けすることで生徒が差別意識を感じないかということが事前に心配されていたので「自己選択」の形をとりました。自分で判断してコースを選ばせたのです。
予想された問題はありませんでしたが、自己選択能力を育てておくことが必要だと感じました。また、理科の実験や体育、技術・家庭などの作業が伴う教科でも、T・Tが進められるといいなという声が上がっています。
渡邊 記録の取り方ですが、授業中は取らず、後で授業者が話し合って記録しました。
授業中にできるだけ子供に接する点ではいいのですが、後でまとめるとなると正確さ、新鮮さという点では今後の検討課題かと思います。
蛭田 本校には、昨年度5人の数学の教師がおり、全員がT・Tの授業を行うこととし、年度当初、教師の組み合わせについて話し合いました。第1学年5学級を全て違った組み合わせで実施しました。指導観の違いを感じることは多々ありましたが、授業の進め方や生徒の見方は違って当たり前という考え方を大切にしました。
結果的には生徒からも好評でした。
わたしの学校ではスムーズにいきましたが、大切なことは、教師の人間関係ではないかと思いました。
佐久間 清野課長さん、直接学校を訪問されたりしてお感じになられたことはありませんか。
清野 4つの学校の実践例をお聞きしましたが、問題があるということを前提のもとに研究してきているということですが…。
これは、問題があるということを、どう選別したらよいかという先生方の取り組む姿勢と大きく関係していると思います。
教師同士の人間関係とか、T1とT2のどちらがメーン、サブになるとか、事前の打合せをどうするかというようなことには、全ての先生方が実際に出合うわけです。
わたしは、T・Tによる指導がいろいろ形を変えて日常的に行われるように実践を重ねていく必要があると思います。
例えば、持ち時間の関係で、あるクラスはT・Tができるがあるクラスはできないという学校もあります。そんな時、T・Tノートの活用を図って指導に当たり、T・Tの効果を波及させている学校もあるようです。
また、T・Tを行うことによって学校全体が活性化してきたという部分も見えてきています。
指導観ということ一つとっても、基本的には教師一人一人が違うわけです。考え方が違う教師が同じ教師の中で子供たちを相手に指導しているわけです。その時、どこかに「共通性」が出てくる。そこが、子供たちにとって大きな魅