福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.121(H09/1997.7) -014/042page
◇シリーズ
T・Tによる小学校算数の授業の在り方
教育センター学習指導部
1 はじめに
多くの小学校では、学級担任が一人でほとんどの教科の授業を担当している。
その教室に、「もう一人」の先生が加わることで、「授業」はどう変わるのであろうか。また、「授業」をどう変えていったらよいのだろうか。児童一人一人の個性への対応を目指したT・T方式について、事例をもとに述べる。
2 T・Tによる授業の改善の視点
(1) 考えの過程を深く見取る
I男(6年生)は、分数のひき算の問題(5年生で学習)を、次のように解いていた。
I男の計算は、答えは正しいものの、求答過程に大きな誤りがある。I男はどのような考えで、このような計算をしたのだろうか。表記された言十算過程の裏にあるI男の考えを明らかにしていく必要性を強く感じる。
T・T方式の導入のねらいは、多様な個性に対応することにあるが、前提として「一人一人」に目を向け、それぞれの学びの過程をより広くより深く見取ることにある。
(2) 自力解決時における個別支援の工夫
5年生の「体積」の学習において、空間的なイメージがつかみにくいY子に対する重点的な個別支援の例を下図にまとめてみた。