福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.121(H09/1997.7) -018/042page
2 子馬の物語
次の日もまなみちゃんは学校を休みました。さと子先生は、校長、教頭、学年主任に、まなみちゃんの現在の様子を報告し、助言を受けました。
「一人で悩まないように」「保護者とも話し合ってみては」「本人が負担を感じる話題は今は控えた方がいいね」という助言を得て、さと子先生は励まされた気持ちになりました。
放課後、さと子先生は再びまなみちゃんの家を訪れました。
担 任 : まなみちゃん、また顔見にきちゃった。
まなみ : うん……。
担 任 : 何してたの。
まなみ : ……お絵かき。
担 任 : 見せてもらってもいいかな。
まなみ : …………。
担 任 : いやならいいからね。
まなみ : ううん、いいよ。草原を駆けるたくさんの馬が、色鉛筆で描かれています。広々とした、すてきな絵です。
ふと、さと子先生は、一頭だけぽつんと離れている馬に目が止まりました。他の馬に比べ、体も小さくタッチも弱々しい感じがします。
担 任 : この馬、元気がないね。
まなみ : 先生、わかる?
担 任 : うん。
まなみ : 先生、この子「むなしいな」って思っているんだよ。
担 任 : …………。さと子先生は心臓がどきんとしました。………今は、耳を傾けて話を聴こう。
まなみ : この子、今びょうきで、みんなとあそべないんだ。だから、びょうきが早くなおりますようにって、毎日おいのりしているの。でも、きょうはまだなおらないの。
担 任 : ………早く治るといいね。
まなみ : うん………。帰り道、さと子先生は子馬の物語を思い返していました。「むなしいな」というまなみちゃんの声が、耳に残っていました。
3 子馬の物語のつづき
まなみちゃんの子馬の物語はつづきました。まなみ : 先生、子馬に友だちができたんだよ。
担 任 : あら、よかったわね。
まなみ : うん。早くびょうきがなおりますようにって、いっしょにおいのりしてくれるんだよ。
担 任 : そう、子馬もきっと嬉しいね。