福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.121(H09/1997.7) -024/042page
研究紹介
説明的文章の読解を通して、論理的な文章表現力を身につけさせることができる指導の工夫
〜枠組み作文を通して〜
いわき市立中央台北中学校教諭 宮澤せき子
1 主題設定の理由
本校では、「基礎基本の定着を生徒自ら目指す工夫」をテーマとして研究に取り組み、豊かな表現力・思考力の育成に努めてきた。
しかし、国語科では、文章による表現力が身についていないという課題も残り、原因として論理的な表現力の不足を考えた。作文でそれを分析した結果、第一には主述の関係があいまいだったりねじれたままの文を書いていたりすること、また、詳しく事柄を説明したりすることができないために学年相応の量が書けなかったりすること、同じことの羅列で内容が豊かにならないといった質の点で問題があることなども挙げられる。さらに、自分の意図を論理的に整理して文章を書く力も不足している。
生徒の意識調査からも、文章を読むこと自体はそれほど抵抗がないのに、説明的な文章を読むことは好きでなく、また、作文にしても、自分の考えなどを伝える手段として有効だと考えているにもかかわらず、どのように書き表してよいのかがわからず苦手意識をもっているのがわかった。
本校の生徒の実態を改善していくためには、まず、教材中の説明的文章から筆者の論理的表現の特徴をつかむことが有効なのではないかと考えた。優れた説明的文章の中の普遍的な論理性を、文章の構成や文の構成などから学び、その関係に気づかせる手立てを工夫し、それを発展的に自己の文章表現に生かすことで豊かな表現力を伸ばしていきたい。
本研究では、文章読解を根底に据え、そこからの発展学習としての立場をとり、枠組み作文をさせることによって、論理的な文章表現力の育成につなげようとするものである。
2 研究仮説
1 研究仮説
説明的文章から構成や表現上の特色を発見し、枠組み作文をすることによって、論理的な表現を自己の表現に生かすことができるであろう。
2 仮説のための理論
(1) 「構成や表現上の特色」とは
筆者が用いた文章表現上の技術のことで、意図を的確に表現するための接続詞や助詞の効果的な使用、構成上の工夫、文末表現などである。
(2) 「枠組み作文」とは
教材の説明的文章の中から、いくつかのキーワードを抽出し、それを叙述されている順序のままに並べ、そのキーワードを用いながら自分の意見を書き表していくことである。
(3) 「論理的な表現」とは