福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.122(H09/1997.11) -009/042page
そのためには、もっと子ども一人一人をしっかり見つめとらえて、その子らしい学習を支援していけるように、指導方法や教師の指導体制の工夫改善を図る必要があるように思います。
ここで、現行の学習指導要領「総則」の記述を見てみましょう。
【小学校学習指導要領「総則」」第4-2(4)(5)】
各教科等の指導に当たっては、学習内容を確実に身につけることができるよう、児童の実態に応じた指導などを指導方法の工夫改善に努めること。
学校の実態に応じ、教師の特性を生かしたり、教師の協力的な指導を行ったりするなど指導体制の工夫改善に努めること。
【中学校学習指導要領「総則」第6-2(5)(6)】
各教科等の指導に当たっては、学習内容を確実に身につけることができるよう、生徒の実態に応じ、学習内容の習熟の程度に応じた指導など個に応じた指導方法の工夫改善に努めること。
学校の実態に応じ、教師間の連携協力を密にするなど指導体制の工夫改善に努めること。
【高等学校学習指導要領「総則」第7款-6(5)(6)】
各教科・科目の指導に当たっては、生徒の学習内容の習熟の程度などに応じて弾力的な学習の編成を工夫するなど、個に応じた指導方法の工夫改善に努めること。
教師間の連携協力を密にするなど指導体制の工夫改善に努めること。
このように、小・中・高等学校ともに、「個に応じた指導方法の工夫改善」、「教師の連携協力による指導体制の確立」をあげ、個に応じた指導の充実を図るためには、ティーム・ティーチングなど指導体制の工夫改善を図るよう求めています。
また県教育委員会では、平成9年度の重点事業として「学力向上IDプラン事業」(義務教育課)「学力向上サクセスプラン事業」(高等学校教育課)をあげ、教員の加配0置を講じてティーム・ティーチングに取り組み、個に応じた指導を充実し、学力向上を図ろうとしています。
ティーム・ティーチングの導入は、学習指導要領の総則で述べられているように、自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を図るとともに、基礎的・基本的な内容の指導を徹底し、個性を生かす教育の充実を図り、子どもが自ら考え、主体的に判断し、行動できる資質や能力を育成することを重視する教育への質的な改善を図ることがそのねらいになっています。
日常行われている授業の多くは、一人の教師が、学級の子どもたちに、同一の教材を用いて、一定の速度で、一斉に指導する方式をとっています。
一人の教師が、授業案の作成から授業の実施、評価までの全てを担当することを前提に、一定の知識や技能を多数の子どもに効率よく覚えさせることが、今までの授業の主眼だったと言えます。このような授業により、'学校教育の発展に寄与してきたことは誰もが認めるところだと思います。