福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.122(H09/1997.11) -011/042page
そのような場合、二人の教師がチームを組めば、子どもを受け入れる“ふところ"は2倍となり、三人となれば、もっと多様な子どもの個性に対応することができ、わたしたちの“ふところ"はますます拡大できることになります。
つまり、私たち教師がチームを組めば、教師一人では対応が難しかった子どものよさや可能性を広く受け入れることができ、それだけに、子どものよさを生かし、可能性を伸ばすことができるようになると確信します。
これが、「学ぶ側の論理」に立った、今求められているティーム・ティーチングを進める上での大切な考え方であると思います。
(2)子どもの個性に応ずるT・Tの構想
ティーム・ティーチングは、「学ぶ側の論理」「子どもの個性の論理」に立って発想するだけに、これといった定型はなく、子どもや学校の実態に即して創意工夫していくことが、その効果を生み出す最人の因となると言われています。
このことを前提に、子どもの多様な個性・個人差に対応する観点から、どのような形態でティーム・ティーチングを展開していったらよいか、その基本的な姿をいくつかあげてみたいと思います。
1 学習集団を分担・協業する形態
この形態は、集団全体を一斉に指導する教師と、小グループを指導する教師、あるいは一人一人の子どもを個別に指導する教師とに分かれて、協力して授業を進める方法です。いわば、一斉指導と個別またはグループ指導とを同時に行うもので、個別(グループ)指導をきめ細かに行うことができるところに意味があります。
子どもが疑問に思ったり、グループに分かれて活動したりするときなど、その場で即時に学習の支援ができるので、子どもの学ぶ意欲や学習効果を高めるのに有効な指導形態と言えます。
2 複数学習コースを分担・協業する形態
この形態は、複数の学習コースを設定し、複数の教師が分担して授業を進める形態です。例えば、授業の導入段階は各学級で、展開の段階では学年全体で、そして子どもの興味・関心に応じて、学習コースを選択させ、そのコースごとに教師が分担して指導し、まとめの段階では、各学級あるいは学年全体でまとめる、というような学習形態が考えられます。
各コースの選択は、子どもの興味・関心ばかりでなく、学習のスキルの違い、学習スタイルの違い、生活体験の違い等によって分化するなど、多様な側面から一人一人のよさが生かせるよう考慮してコースの設定をすれば、主体的な学習が促進され、子どもは自分のよさを発揮して学習に取り組むものと思います。
3 授業の過程において分担・協業する形態
この形態は、授業過程の各段階において、必要に応じて教師が多様にかかわって指導する形態です。
作業や製作等の学習活動の場合、授業過程の各段階に沿って分担して教師が個別指導に当たることができ、最後までその子の学習活動を見守り続けることができます。